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2021/11/04

河川ゲートの在り方 七つの論点で議論開始

 国土交通省は、老朽化が進む、河川用ゲート設備の保全・更新の在り方について、ゲート操作の自動化・遠隔化など七つの論点をまとめた。11月2日に開かれた社会資本整備審議会河川分科会の河川機械設備小委員会に提示。来夏の答申を目指し、今後議論を進める。
 議論の対象となるのは、海水の遡上(そじょう)防止や堤防機能のある「堰」「水門」「樋門・樋管」「閘門」に設置された河川用ゲート設備。
 国では河川用ゲート設備を有する水門など約9000施設を管理しており、このうちの99%が水門、樋門・樋管となる。多くが昭和40年代の高度成長期から昭和末期に設置し、現時点で、更新の目安となる設置後40年経過施設が全体の半数を占める。その割合は10年後に7割、20年後に9割に達するとされ、今後、更新整備が本格化することが想定される。
 そこで河川用ゲート設備の現状と更新に当たっての課題を再整理し、自動化・遠隔化を視野に最適な保全・更新手法を探る。
 小委員会で示された論点のうち、ゲート操作の自動化・遠隔化について国交省は、本川と支川の間に設置された樋門をフラップゲート形式で更新していくことや、操作員を機側(現地)に配置しない完全な遠隔操作化とシステムの標準化、一元管理体制の構築を目指す考えを示した。自動化では樋門の開閉状況の確認や不完全閉鎖の対処方法も検討すべきとした。
 ゲート操作は河川管理者が地方自治体に委託した後、多くの施設が地域住民に再委託されている。施設と同様に地域住民も高齢化しており、操作員の確保が困難な地域が増加。ゲート操作の自動化・遠隔化が求められている。
 国管理の施設では自動化・遠隔化ともに全体の約16%がハード整備済みとなっている。
 この他の論点では、老朽化が進行する設備の故障リスクとして、特に堰など常時ゲートを閉じている没水部の不具合の増加を懸念。点検が困難な部位について劣化状況、故障要因を分析し、点検整備、修繕、更新に反映する必要があるとした。
 自動化・遠隔化に向けて委員からは「自治体も含めた一元管理体制の構築を考えた方がいい」といった意見も出た。

提供:建通新聞社