2021/11/06
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(6)東北
東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)と国土交通省の2021年度ブロック会議が25日、福島市のウエディング・エルティで開かれた。連合会は安全・安心の守り手である地域建設業が、生産性の向上、働き方改革を進めながら適正な利潤を得て将来にわたって存続していくため、インフラ整備予算の安定的、継続的な確保が不可欠だと強調。震災復興事業で回復傾向にあった利益率が、その収束に伴い急低下している現状に危機感を訴え、現行の施工実態を踏まえ、復興事業終期となる2022年度以降の施工確保対策として、被災地特例の復興係数等に代わる仮称・地域係数の導入を求めた。
連合会が提示した@国土強靭化の計画的推進と社会インフラ整備予算の確保A設計労務単価改定と地域間格差の解消等B新担い手3法を踏まえた適切な運用と適正な利潤の確保C働き方改革の推進と生産性の向上D激甚化する自然災害における施工確保対策の在り方と地球温暖化による必要経費の確保E地域建設業の戦略的広報と大災害に備えた国民への分かりやすい広報−の6項目で意見を交わした。
労務単価については連合会が、完全週休2日制実現に向け2割増を要望。併せて現場管理費で計上されている技術者報酬の積算明確化を求めた。
国交省は、労務単価の上昇が現場労働者の賃金水準上昇、次の単価に反映という好循環につながっていくことが重要だとし、「労働市場の実態がより適切に反映されるよう努める」と回答。技術者報酬の明確な積算、計上は安定的な技術者確保の観点からも重要としながら、専任経費の別途計上化は、受発注者双方の事務負担を踏まえると難しいとの見解にとどめた。
新担い手3法を踏まえた適切な運用として連合会は@現場実態と合った設計図書の精度向上A低入札価格調査基準の一層の引き上げ−とともに、設計変更の適切な運用を挙げ、照査の範囲を超えた変更業務に対する速やかな対価の支払いと、変更の必要が生じた都度、対応が図られるよう訴えた。
国交省は、公告段階で条件明示チェックリストを開示することで施工条件を明確にし、施工途中で生じた課題に対応、円滑に変更が行えるよう取り組んでいると回答。設計図書と現場の整合性を確認するための発注者、設計、施工者による工事調整会議の取り組みも示した。
働き方改革では、地域建設業の担い手確保のため、その推進が不可欠との認識で官民が一致。連合会は重ねて、中小規模のICT施工で適正な利潤が確保できるよう、費用面や投資環境、人材育成の各分野で一層の支援を求めた。
(地方建設専門紙の会)