国土交通省は、用地関係業務の今後の方向性をまとめた。所有者不明土地特措法の見直しに併せて、所有者不明土地対策を強化。用地業務での災害対応・支援強化、官民連携も進める。10月28日に開かれた国土審議会土地政策分科会第44回企画部会で提示した。
所有者不明土地対策の強化では、全国10地区に設置している地方整備局と、都道府県などの行政機関、補償コンサルタント協会などの関係6団体からなる「所有者不明土地連携協議会」の活動内容を拡充。地籍調査を含め、広く土地の適正管理・利用促進の問題を取り扱っていくこととした。
さらに協議会の関係団体の拡大や、構成員へのニーズ調査などきめ細やかな対応強化にも取り組む。
関係団体については、弁護士会、司法書士会、行政書士会、土地家屋調査士会、不動産鑑定士協会、補償コンサルタント協会の現行6団体に加え、全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会連合会に参画を依頼。連携を強化した上で、ランドバンクの普及を進める。
災害への対応では、平時に協議会を活用しつつ、地方自治体に災害対応で必要となる用地情報を提供する。災害時には市町村からの要請に応じ、復旧・復興事業の計画段階で想定される用地取得リスク(所有者不明土地など)を助言。用地取得に当たって補償基準の解釈などもアドバイスし、復旧・復興事業が円滑に実施されるようにしていく。
この他、市町村支援の充実として、民間への外注支援のための「官民連携の手引き」や、現場ニーズに応じたマニュアルの整備をはじめ、用地業務全般を包括的に発注する手法や、官民一体のマネジメントを検討する。地域のニーズを踏まえた地域福利増進事業の拡充にも取り組む。
特措法は11月、施行から3年が経過し、見直しの時期となる。国交省では所有者不明土地の発生予防の観点から、管理不全土地や低未利用土地の利活用・管理の仕組みをあらためて検討し、本年度中に国土審議会で制度見直し案をとりまとめることとしている。必要となる法案は次期通常国会に提出する予定。
提供:建通新聞社