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2021/10/26

世界標準目指し建機自律化デモ 土研

 土木研究所(茨城県つくば市)は、建機の自律化施工で必要となる協調領域(※)を核とした自律施工技術基盤(プラットフォーム)について、試作品を仕上げた。今後、試作品を利用した建機のデモンストレーションを行い、建設会社や建機メーカー、大学・研究機関から意見を募集。2022年度にも共同研究に着手し、プラットフォームの早期実用化と協調領域を含めた自律化技術の標準化を目指す。
 建機の自律化施工は、建設会社と建機メーカーが1対1で開発グループを組み、独自に研究開発を進めてきた。建設会社では鹿島や大成建設が建機メーカーと組んで、建機を動かすソフトウエアやシステムを開発し、ダムなどの工事現場で複数の建機を同調させ、自動で土砂を掘削・積み込み・運搬する作業を試行している。
 一方で、建設会社と建機メーカーがそれぞれ開発した自律化施工のシステムは汎用(はんよう)性が低く、▽互いの連携・協働が困難で研究開発投資が重複する▽メーカーが異なると機械相互の連携が困難―といった課題が見えてきた。
 例えば、A社が開発した自律化施工システムの現場で、B社で電子制御化した建機を利用するには、ソフトウエアを初めから作り直す必要があるとされる。
 そこで協調領域で建機の基本的な動作にかかわる信号を統一的にルール化し、協調領域と競争領域の範囲=イメージ図=を明確にしておくことで、複数メーカーの連携を容易にするとともに、研究開発が重複する無駄を省き、大学・研究機関を含めた研究開発の加速につなげる。
 併せて協調領域を核に、電子制御化された建機や実証フィールド、シミュレーター、協調領域と自律施工ソフトをつなぐミドルウエアで構成されたプラットフォームも構築する。
 将来はプラットフォームを全面公開し、さまざまな研究機関が利用できるようにする。当面は協定を結んだ者に限り利用を認めていく予定。
 今回仕上げた試作品では、協調領域として建機の基本的な動作(シリンダーを伸ばす、モーターを動かすなど)の信号をルール化。油圧ショベルと不整地運搬車によるデモンストレーションを11月24〜26日に実施し、土砂の掘削から積み込み、移動、放土に至る一連の作業を試す。デモンストレーション見学会の参加受付期限は11月12日。
 建機の自律化施工は日本だけでなく世界の先進主要国が研究開発に取り組んでいるが、協調領域の世界標準はまだない。日本の標準を世界標準とすることで、インフラ技術の海外展開を後押しする狙いもある。
※協調領域=パソコンの場合の基本ソフト(OS)に当たる。

提供:建通新聞社