国土交通省は、全国の市区町村のダンピング対策の実施状況(2020年10月1日時点)を公表した。入札契約適正化法に基づいて行った調査の結果を各地域の地図上にまとめ、見える化≠オた。最新の中央公契連モデル(19年4月)を下回る算定式を採用していた市区町村は、最低制限価格で342団体、低入札価格調査基準価格で204団体。国交省はこのうち人口10万人以上の54団体=表参照=に対し、個別にヒアリングを行い、改善を働き掛ける方針だ。
中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)は、19年4月に最低制限価格と調査基準価格の設定範囲の基準を、予定価格の75〜92%に引き上げた。国交省はダンピング受注を排除するため、この最新基準の採用を各自治体に求めている。
ダンピング対策の見える化では、各市区町村が採用する算定式の水準を地図上に落とし込み、近隣の自治体と比較できるようにした。国交省はすでに昨年度から、施工時期の平準化で同様の試みを行っている。
最低制限価格の設定状況を見ると、最新モデルを下回る水準で価格を設定している政令市は2団体、市区は151団体、町村は189団体の合計342団体。調査基準価格は政令市1団体、市区116団体、町村87団体の合計204団体が最新モデルを下回る基準を採用していた。
ただ、算定式を非公表の市区町村、独自の算定式を採用して設定水準の判断ができない市区町村、ダンピング対策を未導入の市区町村など、300団体以上は、この中に含まれていない。
地域別で見ると、石川県が全19市町のうち18市町が最低制限価格に最新の中央公契連モデルを採用(残る1市は最新モデルの調査基準価格を採用)。一方、東京23区では最低制限価格の算定式を「非公表」とした区が16団体となり、他地域と比べて突出して多い。
国交省と建設業4団体は今年3月に行った意見交換で、建設技能者の賃金水準を2%以上上昇させることで一致。国交省はこれを受け、自治体にダンピング対策の徹底を求めている。このため、国交省はまず、最新の中央公契連モデルを下回る基準を設定している団体のうち、発注工事の多い人口10万人以上の市区町村に対し、年内をめどに個別にヒアリングを行って算定式の見直しを求める。
提供:建通新聞社