国土交通省は、東京外かく環状道路(外環)や相鉄・東急直通線の陥没事故など、シールドトンネルをめぐる工事事故の発生を受け、シールド工法の安全性向上について話し合う有識者会議を立ち上げる。シールド工事の受発注者にヒアリングし、事故を教訓とした技術的な知見をガイドラインにまとめ、国内のシールド工事に適用する。
有識者会議は「シールドトンネル施工技術検討会」として9月28日に初会合を開く。委員長には、東京大学名誉教授の龍岡文夫氏が就く。
28日の初会合では、外環の発注者である東日本高速道路会社、相鉄・東急直通線の発注者である鉄道・運輸機構に事故発生の原因などをヒアリングする見込み。2回目以降、シールド工事を受注するゼネコンなどにもヒアリングする見通しだ。
外環(関越〜東名)のシールド工事をめぐっては、昨年10月にシールドマシンのルート上の東京都調布市内で道路陥没が発生。現在もシールドマシンの掘進作業を停止しており、東日本高速は、今年3月までに事故原因に関する報告書をまとめている。また、昨年6月には、相鉄・東急直通線の新横浜トンネル工事でも地表面の陥没が発生した。
国交省は、さまざまな分野で活用されるシールド工法の重要性を踏まえ、有識者会議で同工法の安全性向上について議論する。12年に岡山県倉敷市で発生した海底トンネル工事事故を受け、同省の有識者会議がシールド工事の安全対策の強化を提言しており、これも参考にガイドラインをまとめる考えだ。
シールド工法技術協会の調べによると、2010年度から19年度に国内で契約されたシールド工事は496件。このうち下水道が205件と全体の41・3%を占め、上水道78件、地下河川・貯留管55件、ガス51件、道路30件が続いている。
提供:建通新聞社