CLT(直交集成板)を活用した建築物の完成件数が、2021年度末までに全国で累計711件に上ることが、内閣官房の調査(7月末時点)で分かった。21年度の1年間で122件(うち国庁舎4件)が完成することになる。22年度以降も、86件(同33件)の建築物にCLTが活用される見通しだという。
関係省庁と都道府県の調査結果を内閣官房が集計し、9月21日の「CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議」に報告した。内閣官房が初めてこの調査を行った14年度は、累計29件だったが、7年間で24倍以上に増加したことになる。
22年度以降に整備を予定している86件を加えた797件を用途別に見ると、事務所166件、店舗・倉庫130件、地方自治体の関連施設113件が続いた。都道府県別では、岡山県が88件で最も多く、高知県の46件、東京都の43件、北海道の42件が続いた。
10月1日に施行される改正木材利用促進法では、木材利用を求める対象を従来の公共建築物から民間建築物に拡大。政府は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、民間建築物にもCO2排出量が少ない木材の利用を促していく。
中でも、CLTは従来の木材パネルよりも強度が安定しており、中高層の民間建築物への利用を後押しする考えだ。
今年3月には、CLTの普及に向けた5年間の新たなロードマップも策定。25年度末までに年間50万立方bの生産体制を確保できるよう、CLTの寸法の規格化、低コストの接合方法の開発、効率性の高い非等厚CLTの規格の拡充など、CLTの低コスト化にも取り組むとしている。
提供:建通新聞社