国土交通省は、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改訂案を2021年度中に作成する。建設業団体の意見を踏まえ、22年度早々の改訂を目指す。ガイドラインには一人親方の「適正」「不適正」の線引きを盛り込む。適用開始の時期については、周知期間を含め別途検討していく。9月2日開催の「建設業の一人親方問題に関する検討会」で事務局案として提示した。
下請指導ガイドラインは、社会保険の加入について、元請け企業と下請け企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にし、建設企業の取り組みの指針とするもの。
現行のガイドラインは12年に策定した。その後国交省では、実効性を高めるために、建設業の一人親方問題に関する検討会を立ち上げ、適正な一人親方の目安などを検討。今年3月の中間とりまとめで具体的な考え方を固めた。
中間とりまとめによると、適正と考えられる一人親方の条件は、実務経験年数10年以上または職長クラスや建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル3相当以上の技量があることなど。
対して、適正でないと考えられる一人親方は、実務経験10年未満でCCUSのレベル3未満の技量がない技能者。適正でないと考えられる一人親方については、社員として雇用契約を締結し、社会保険の加入を促していくことになる。
ガイドラインには、こうした一人親方に関連する考え方を新たに盛り込んでいく予定。また、ガイドライン改訂に先立ち、21年度中に適正な一人親方の目安などを記載したリーフレットを発行する。リーフレットには適正な一人親方の目安、働き方の自己診断チェックリスト、労働者と一人親方の違い、フリーランスのガイドライン、インボイス制度、適切でない雇用ケースなどを記載する。
提供:建通新聞社