トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2021/09/06

強靱化の効果 建設中の砂防堰堤で被害軽減

 「台風9・10号から続いた前線による豪雨」に見舞われた佐賀県で、建設中の砂防堰堤が大雨により流出した土砂をため込み、下流側の被害を軽減していたことが分かった。これまでの国土強靱(きょうじん)化の効果発現の一端ともいえ、視察から戻った足立敏之参議院議員が建設専門紙に伝えた。
 土砂を防いだ砂防堰堤は、佐賀市の弘学館中学校・高校の西側を流れる金立川に築造中で、県発注工事を松尾建設(佐賀市)が請け負い施工している。大雨時の工事進捗率は約9割と未完成の状態だったが、上流から流れ込んできた土砂約7000立方bを受け止め、砂防堰堤の鋼製スリットの高さまでため込んだという=写真。
 下流側のすぐ近くに民家3軒があったが、住人は2年前に発生した土砂災害の経験から砂防堰堤が完成するまで家を離れていたという。もしも砂防堰堤の計画がなく、住人が住み続けていたとしたら、流れ出た土砂に巻き込まれていたかもしれない。
 足立議員は8月の豪雨で被災した現場を視察した。過去に災害が発生し新たな対策を講じている佐賀の砂防堰堤や、復旧作業が完了し7月に全面開通した岐阜県下呂市の飛騨川沿いの国道41号などを訪れ、「これまでの強靭(きょうじん)化で行ってきたハード対策の効果が着実に上がってきたことを肌で感じた」とした。
 一方で、8月の豪雨を振り返り、「命を落とす人は減ってきたが、各地で地すべりや土砂災害、護岸崩落、堤防欠損、鉄道橋脚の洗掘が発生した。再度災害、再再度災害など毎年のように被害が発生する場所も増えてきた。内水被害も増加したように思う」と感想を述べ、「強靱化の手を緩めてはいけない。さらなる対策が必要だ」との考えを示した。

提供:建通新聞社