国土交通省総合政策局公共事業企画調整課課長に就任した岩見吉輝氏が共同インタビューに応じ、「建設現場にさらにICTを入れていきたい」など就任の抱負を語った。
建設生産システム全体の生産性を向上し、魅力ある建設現場を目指すi―Construction。その創設当初から施工のICT化に携わってきた。
目指すべきは「個々の会社がICTを使って生産技術、生産管理の能力を高め、生産性を向上させる。その利益を原資に『給料』『休暇』『希望』のいわゆる新3Kを実現し、会社の魅力を高めること」と説く。こうした正のスパイラルにより担い手不足に対応し、地域の守り手である建設業の持続的で安定的な経営を促す。
特に中小企業の経営者には、ICTの一層の普及のためにも、「デジタル化のメリットを理解してもらうことが大切」だという。一方で発注者側は「施工のデジタル化に合わせた手続きや書類のデジタル化、スリム化も忘れてはいけない」。
公共事業企画調整課では、インフラメンテナンス国民会議や社会資本重点ブロック計画、国土強靱(きょうじん)化の5か年加速化対策など、各局を横断する業務の調整という重要な役割も担う。
熱海の土砂災害でクローズアップされた盛り土の総点検では全体のとりまとめを担当。「危険箇所が見つかった場合には、対応策の具体化について積極的な役割を担うことになるだろう」と気を引き締める。
河川機械設備小委員会(社会資本整備審議会)の事務局も担い、全国的に老朽化が進む排水機場ポンプなどの在り方を探っている。今後は「ゲート設備などを含め、担い手不足を踏まえた遠隔操作や、技術者と技術力の維持、排水機場を管理する自治体への支援策などが議論の中心になってくる」とした。
【略歴】早稲田大学理工学部機械工学科卒、88年旧建設省採用。北陸地方整備局道路部長、国立研究開発法人土木研究所技術推進本部長などを経て7月から現職。東京都文教区出身。57歳。
提供:建通新聞社