農林水産省は、2022年度当初予算案の概算要求で、公共事業費に前年度比17・6%増の8229億円を要求する。農業農村整備事業に3946億円、治山事業に733億円、森林整備に1478億円などを求める。「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」、盛土の総点検の結果を受けた対策経費などは、年末までの予算編成過程で検討するとした。
8月24日に開かれた自民党の部会に概算要求の骨子を報告した。
農業農村整備事業では、農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を図るため、▽農地の大区画化・汎用化▽農業水利施設の更新・長寿命化▽省エネ化・再エネ利用▽防災重点農業用ため池の防災・減災対策▽農業用ダムの洪水調節機能強化―などを推進する。
農業生産活動の基盤となる農業水利施設の機能を安定的に発揮させる「農業水路等長寿命化・防災減災事業」には315億円を要求。地方の裁量で実施する農林水産業の基盤整備、農山漁村の防災・減災対策に予算を配分する「農産漁村地域整備交付金」には940億円を求める。
森林整備事業の要求額は1478億円で、間伐の着実な実施、主伐後の再造林の省力化・低コスト化、林道の開設・改良を推進する。治山事業には733億円を要求し、流域治水と連携した治山対策の強化、津波に強い海岸防災林の整備などを進める。
公共事業以外では、建築用木材供給・利用強化対策に22億円を要求。木材利用促進法の改正を受け、建築用木材の実証実験、大径材活用に向けた技術開発、製材やCLT(直交集成板)の利用環境整備などに取り組む。
提供:建通新聞社