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中央ニュース

2021/08/21

建設トップランナーフォーラム(6)

 萩原建設工業(北海道帯広市、萩原一利社長)の萩原一宏専務取締役は、社内の女性社員が働きやすい環境づくりや現状の課題について発表した。
 同社は、全社員168人のうち女性社員が20人。2010年に初めての女性技術職として採用した社員は、入社理由について「出身地にある会社であること」や「女性技術者を採用する会社が少なかったこと」を挙げていたという。現在は女性技術者が複数在籍し、育児休暇や復職サポートもしっかりと整えている。
 育児・介護休業規定などの社内制度については、女性社員の増加に合わせて、構築していった。そうした取り組みを進めるうちに女性社員が活躍する場も増え、現場事務所では事務系の女性社員が巡回し、事務処理や安全衛生管理を補助している。女性社員が現場にいることで雰囲気も良くなり、全員で事務所を清潔に保つようになったという。会社の中期経営計画に関わったり、一級建築士の資格を取得し現場所長を務めたりする女性社員も現れるようになった。
 社員を対象に行ったヒアリングの結果によると、女性社員が増えたことの良い点として、「女性の増加と比例して社内の労働環境の整備が進んだ」ことが男性社員の多くから挙がったという。
 今後の課題については、「育児休業後の配属に関して、すぐに現場に出していいものか」など担当させる業務のバランスが難しいことが指摘された。女性社員からは「『女性だから』『女性なのに』という発言や考え方はやめて特別視しないでほしい」「昇進に響くためなのか男性社員が育休を取らない」との意見があった。
 今後について、萩原専務は、女性社員といっても人それぞれで考え方が違うことから、中期目標として「個別にサポートできる体制を構築し、最終的には女性が当たり前に活躍できる会社を目指す」と掲げた。目標達成のためには、会社内部でさらに人材教育や人事評価などの制度を整えなければならない。働き方改革の必要性も挙げ、週休2日の確保が難しいとされる民間建築工事に対しても顧客に理解を求めていく方針だ。これまでの取り組みを「何か特別なことをしたというよりも、社員の労働環境を整えるのに必死だった」と振り返った上で、今後は「社員一人一人が輝けるような体制をつくっていきたい」と決意を述べた。
(地方建設専門紙の会)