国土交通省は、建設機械の自動化・自律化・遠隔化技術の社会実装に向け、産学官による「建設AI施工(自律化施工)協議会」を今秋にも立ち上げる。ローラーやブルドーザーの自動化を手始めに2021〜25年度の5年間でバックホウの自動化が見通せるぐらいまで、議論と実証を深めていく考えだ。
協議会の構成員は建設施工、ロボット、機械関係に精通する学識者をはじめ、日本建設業連合会などの建設関連団体、建設機械・ロボット関係団体、国交省、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、消費者庁、国土技術政策総合研究所などを予定。
立ち上げに併せて、安全・制度ワーキンググループ(WG)と現場技術WGを設置する。
安全・制度WGでは、厚労省や消費者庁などをオブザーバーとし、建設施工での自動化・自律化・遠隔施工を行う際の安全基準や責任分担を検討。人と機械の責任範囲などを具体的に提示していく。
一方、現場技術WGでは厚労省の他、農水省、経産省などにも意見を求めながら、▽技術動向(ロードマップの作成)▽実用化に向けた実証試験▽技術開発と性能評価(実証ガイドラインの作成)―に取り組む。
ロードマップで各技術の実用化に向けたスケジュールを示した上で、民間企業・関連メーカーの最新の開発状況を踏まえ、実証試験、技術開発、性能評価を進める。
実証試験や技術開発が一定程度進んだ段階で、基準WGを設置し、施工の安全管理、技術の標準化、性能評価について検討することになる。
技術基準の草案作成に当たっては建設関連・建機関連企業をはじめ、AI、ロボット、IoT、制御ソフト、通信関連企業などから幅広く意見、提案を求める。
国交省は雲仙普賢岳の災害を受け、現場の安全確保や二次災害防止を目的に、遠隔化操作による無人化施工の取り組みを本格的に始めた。最近では紀伊山地砂防で建機の自動化施工による災害復旧工事を実施。自動化施工では雨期にも現場を稼働できるため、現場全体としての作業効率は高まったという。一方、建機ごとの作業効率は、実際に操作者が搭乗する場合と比べ、格段に落ちることもあり、さらなる技術の高度化が必要とされる。
また、高度化した技術をさまざまな現場で活用するには、大手ゼネコンや建機メーカーが独自に取り組んでいる自動化技術などを統一的に動かすことができる環境整備が必要ともされ、産学官が連携した具体化への検討・検証の場が求められていた。
提供:建通新聞社