政府は8月10日、静岡県熱海市の土石流被害を受けた関係府省連絡会議の初会合を開いた。盛土の崩壊による災害を防止するため、土砂災害警戒区域の上流部や大規模盛土造成地を対象とする総点検を年内に実施するとともに、危険箇所への対策工事や詳細調査の予算を措置する。土地利用規制などの制度対応についても検討する。
7月に熱海市で発生した土石流をめぐっては、土石流の起点にあった盛土との因果関係について静岡県が詳しい経緯を調べている。
政府は、災害を引き起こす恐れのある盛土がこの他にもないか、全国の盛土を総点検する。具体的には、国土交通省が国土地理院のデジタルマップを活用し、標高差が5b以上ある箇所を盛土の可能性がある箇所として抽出。このデータを都道府県に提供し、許可・届け出時の状況との違い(面積、土量など)、災害防止措置(水抜きの有無など)の実施状況を目視で点検してもらう。
特に土砂災害警戒区域の上流部、山地災害危険地区の集水区域、大規模盛土造成地などを重点的に点検する。
年内にまとめる総点検の結果を踏まえ、危険箇所の対策と盛土の安全性を確保する制度的な対応策を検討する。危険箇所については、盛土の行為者による是正措置を基本としつつ、盛土の撤去、対策工事、詳細調査の予算を関係府省が措置する。
建設発生土などの運搬については、自治体の条例による規制に頼っており、全国一律の土地利用規制などの対応策も検討する。
提供:建通新聞社