国土交通省が2020年度に契約した直轄工事で、週休2日工事の実施率が89%となり、前年度比で21ポイント増と大きく伸びた。週休2日に必要となる経費補正や業界団体と連携した周知活動の成果が現れてきたようだ。同省は21年度に週休2日交替制モデル工事で新たに現場管理費の補正係数を設定した他、週休2日工事の補正係数を継続。23年度の原則全工事での発注者指定による週休2日確保を目指し、順次取り組みを拡大する。都道府県・政令市にも浸透しつつあり、民間工事への波及も見据える。
20年度の直轄工事では全8571件(21年3月末時点、営繕・港湾空港除く)を契約した。このうち週休2日工事は7746件を公告し、うち6853件で実施した。実施率は88・5%(19年度57・6%=営繕・港湾空港含む)。
方式別にみると、発注者指定は1181件を公告し、うち1161件で実施。実施率は98・3%。
受注者希望は公告6142件中実施5449件となり実施率88・7%。
交替制モデルは423件を公告したうち243件で取り組み、実施率57・4%となった。
全体の実施率を地方整備局別にみると、中国と沖縄総合事務局が96・0%で最も高く、以下、四国が93・9%、北陸が92・5%、北海道開発局が90・2%、九州が89・3%、近畿が87・7%、関東が85・5%、東北が83・6%、中部が82・9%の順となった。
21年度から国交省は、これまで労務費のみに補正係数を適用していた週休2日交替制モデル工事で、現場管理費にも補正係数を設定。交替制で現場を週休2日とする通年維持工事などでも、必要経費を発注者が負担するようにした。
週休2日交替制モデル工事は、通年の対応が求められ、現場閉所が難しい維持工事などを対象としており、20年度は243件の工事で試行した。
21年度に始めた現場管理費の補正係数は▽4週6休=1・01▽4週7休=1・02▽4週8休以上=1・03―。労務費の補正係数は20年度と同じ。
標準単価を適用している工種の補正係数については、変更せずに継続して適用するが、市場単価方式を適用する工種にも補正係数を新たに導入した。
直轄の週休2日工事では、引き続き、現場閉所の日数に応じて労務費・機械経費(賃料)・共通仮設費・現場管理費を補正。現場閉所で工期が伸びることに伴う必要経費を発注者が負担する。
国交省は、24年4月から労働基準法による時間外労働規制が建設業に適用されることを踏まえ、直轄工事での取り組みを順次拡大。時間外労働規制適用までに維持工事等も含めて全工事を発注者指定としていく。
提供:建通新聞社