国土交通省は、建設現場での資材運搬など人力作業の負担を軽減するため、2021年度に直轄工事約20現場でパーワーアシストスーツ(PAS)を導入する。効果を検証した上で、早ければ22年度中の実装を目指す。
PASは、ゴムやバネなどの伸縮力によるパッシブ系と、電動モーターなどによるアクティブ系の2種類ある。介護や物流などの現場ではすでに商品化されており、これを建設の現場に導入し、人力土工や小運搬などに従事する作業員の負担軽減を図る。
直轄現場での導入検証に向け、9月ごろに「建設施工におけるPAS導入に関するワーキンググループ(WG)」を行い、対象工種、対象工事(地方整備局)を絞り込む。その後、現場で使用するPAS技術を公募し、複数を選定する予定。
PASについては20年度に複数の模擬作業を実施済み。市販またはレンタルされている、パッシブ系PASとアクティブ系PAS各2種類の計4種類を公募・選定し、普通作業員、監理者(新規入職者相当)、とび工の各4人の計12人に装着してもらい、それぞれの効果を確かめた。
模擬作業は、人力土工による掘削・運搬作業、現場内小運搬による階段昇降運搬作業と仮設足場への資材運搬・集積作業の全3パターンを3日間で実施。PAS装着の有無を比較した結果、装着有りで全体的に作業の早さ、質や出来高への貢献、身体負担の軽減に効果が見られた。
介護、物流、農業向けPASの建設作業への適用性も確認。有効な活用場面として▽人力土工での掘削作業▽小運搬でのアクティブ系PASによる資材を抱えた運搬昇降▽とび工での重量物の持ち上げ下げ作業−が想定できるとした。
21年度は、検証PASの種類を追加公募で増やし、直轄工事の実現場で長期検証する。対象工種は9月のWGで詰めるが、張芝工、鉄筋組工、土のう設置、コンクリート打設、法面吹付工などを見込む。別に災害時の排水ポンプ設営・撤収などの検証も行う。
建設現場ではICT活用が進む一方、人力作業の負担軽減による生産性向上が課題になっている。
提供:建通新聞社