国土交通省は8月2日、下請け契約と下請け代金支払いの適正化などを求める、いわゆる盆暮れ通達≠建設業団体110団体に送った。材料費や労務費などの経費を内訳明示することや、手形の利用廃止に向けた取り組みを進めることなどを新たに求めた。
盆暮れ通達は、経営基盤の弱い下請けに対する適正な支払いを促すため、資金需要が増す夏・冬の年2回、建設業団体などに送る。
今回の通達では、3月に国交省と建設業4団体の意見交換で示された「おおむね2%以上の賃金上昇」を実現させるため、9年連続で上昇している設計労務単価が技能労働者に適切に行き渡るよう、ダンピング受注や技能労働者の賃金水準の低下につながる恐れのある部分をより細かく説明したり、下請け代金の支払いでの新しい動きを盛り込んだ。
材料費や労務費等の経費の内訳明示は、もともと建設業法の規定(第20条)に定められている。規定の一文を通達に書き加えることで、あらためて周知を徹底。材料費や労務費等の経費を内訳明示した上で、工事の工程ごとの作業・準備に必要な日数を明示した見積もりを行うよう促した。
下請け代金の支払いでは、改訂版の建設業法令順守ガイドラインで示した手形の扱いを新たに追加。▽手形の現金化にかかる割引料などのコストは(元下間で)十分協議した上で明示し、下請負人の負担としない▽手形期間は60日以内とする▽手形の利用廃止に向けて、振込・電子記録債権への移行・手形期間の短縮の取り組みを進めていくよう努めることが重要―とした。
この他、元請負人は、建設業退職金共済制度関係の事務を受託する場合、工事ごとに、電子申請方式と証紙貼付方式のいずれかを選択した上で、下請け契約を締結するよう求めた。
八王子の階段崩落事故など施工不良の問題が相次いでいる状況を踏まえ、ダンピング受注の防止、建設現場での品質管理、施工管理の徹底も強調した。
提供:建通新聞社