建設経済研究所と経済調査会は、2021年度の建設投資(名目値)を前回の4月推計から8600億円上方修正し、前年度とほぼ同水準となる62兆9600億円とする見通しを明らかにした。政府建設投資を800億円下方修正する一方、回復傾向にある住宅着工戸数などを背景に民間建設投資で9400億円ほど積み上げた形だ。
21年度の政府建設投資の推計は、2・7%減の24兆9100億円。19年度の補正予算や東京五輪の影響が弱まってきたことから、前回推計よりさらに800億円下方修正した。政府建築補修(改装・改修)は1・6%増の1兆2700億円になると予測する。
一方、21年度の民間建設投資は、コロナショックからの回復傾向が全体的に強まっており、中でも民間住宅投資は3・4%増の15兆7700億円になると推測し、前回推計より7100億円積み上げた。さらに80万3000戸としていた住宅着工戸数は、昨年度末から本年度当初の実績が予測を上回ったことから、4・1%増の84万5000戸に見直した。
住宅着工戸数の内訳は、持ち家が5・3%増の27万7000戸、貸家が3・0%増の31万2000戸、分譲住宅が4・6%増の25万戸と予測する。
民間非住宅建設投資は、堅調な倉庫・流通施設をはじめ、建築投資に回復の動きが広がりつつあるものの、20年度の着工減少の影響が出てくると推測。1・4%減の16兆6300億円とした。
民間建築補修投資は3・9%増の5兆6500億円と見通す。
22年度の建設投資は、民間投資が微増になるものの、政府建設投資で19年度の補正予算と東日本大震災の復興事業の影響がなくなっていくことから、新たな補正がなければ微減となる61兆8700億円(前年度比1・7%減)と予測。うち政府建設投資は5・5%減の23兆5300億円と見通す。
民間住宅投資は、コロナの影響が落ち着くものの、政府の支援策が21年度末で終了することもあり、前年度から微減(15兆4900億円)。
民間非住宅建設投資は、製造業の設備投資が回復し、非製造業でも下げ止まりの兆しが見られるため、微増となる2・0%増の16兆9600億円と予測する。
今後の建設見通しについては、高速道路会社などでの財政投融資を活用した工事発注の伸び具合によって上振れしてくる可能性もあるとみている。
提供:建通新聞社