国土交通省は、プレキャスト製品の適用を拡大するため、現場打ちコンクリートとの比較検討にVFM(Value for Money)の考え方を取り入れる。2021年度に試行工事を実施し、プレキャスト製品の活用効果も検証する。VFMによる比較検討は5件程度の直轄設計業務で試行する予定。試行工事は北陸地方整備局が21年度中に8件を発注する予定でいる。
プレキャスト製品の適用拡大に向けては、コンクリート構造物の設計で、コスト以外の要素(工期、品質管理、施工性など)を評価できるようにし、同製品を採用しやすいようにする。従来は、コストを中心に比較検討し、最も安価な形式・工法を選定してきたが、安全性や施工期間などコスト以外の観点を考慮したVFMによる比較検討へと転換する。
このため21年度中に直轄業務5件程度でVFMによる比較検討を試行。22年度に比較検討方法の基準化に向けた検証を実施し、23年度中の比較手法の確立を目指す。
試行に当たってコスト以外の評価では、特に「自然環境への影響(CO2排出など)」と「働き方改革への寄与度(労働時間、休暇取得、書類削減など)」の2項目を考慮する。
一方、北陸地整が独自に取り組む「PCa一括採用試行工事」は、21年度に河川と道路各4件の計8件を予定。新たな評価指標と配点案を用いてプレキャスト製品の適用を検討する試行工事を実施。その後、比較検討手法を検証した上で、適用対象の拡大を図る。
試行工事では総合評価の「省人化・省力化」の評価項目で15点を加点するなど、プレキャスト製品の活用を評価していく。
プレキャスト製品の活用へはこの他、近畿地整で推進検討会を設置。11月に検討方針を取りまとめる予定。
プレキャスト製品の採用は、現場への搬入や購入コストが課題。特に大型製品の使用率は13%と、小型の95%、中型の49%と比べて極端に低く、試行を通じてこうした大型製品の適用拡大に道筋をつける。
提供:建通新聞社