国土交通省は、改正建設業法で禁止した「著しく短い工期」の判断に着工段階の実施工程表を活用する。立入検査で実施工程表を確認し、着工時点と極端に異なる工程で施工した工事では、追加・変更工事契約や代金支払いの実態を調査。契約変更せずに短工期を強制していた元請けを建設業法上の指導対象とするなど、元請け・下請け間の工期への監視を強める。
2020年10月に施行された改正建設業法では、中央建設業審議会が作成した「工期に関する基準」の順守を求める一方、通常必要と認められる期間と比べて「著しく短い工期」での請負契約を禁止。下請けなどから通報があり、この規定に違反した注文者(発注者、元請け、上位下請け)を勧告できるようにした。
同月に改訂した「建設業法令遵守ガイドライン」では、24年4月適用の時間外労働の上限規制を上回る、違法な長時間労働を前提とした工期を「著しく短い工期」と判断する、との解釈も示している。
21年度からは、大臣許可業者の立入検査の際、元請け・下請け間でやりとりする実施工程表を活用して工期の適正性を確認する。実施工程表で示された当初の工程を大幅に変更しているケースでは、追加・変更契約や代金支払いの実態を調査。変更契約や支払いを伴わない工期変更の適正性を確認する。
工期短縮を求める元請けが、下請けに見積もりの再提出を求めるケースもチェックする。
工期のしわ寄せを受けやすい後工程の内装仕上げ工事や設備工事などを重点的にチェックする。電気設備工事では、日本電設工業協会(電設協)がまとめた「工期の基準の手引き」なども参考に、立入検査時に工期の適正性を確認する。
提供:建通新聞社