国土交通省は、住宅・建築物で省エネ基準の適合義務化の範囲拡大と、省エネ基準の引き上げを進めるためのロードマップをまとめた。住宅と非住宅の小規模建築物とともに、2025年度の適合義務化を目指す。これにより全住宅・建築物が適合義務化されることになる。非住宅関係では24年度に大規模建築物、26年度に中規模建築物の省エネ基準の引き上げを予定する。7月20日に行われた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の第5回会合で初めて提示した。
省エネ基準は、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造と設備に関する基準。
空調、照明、給湯などのエネルギー消費量から算出する1次エネルギー消費量基準(BEI値)を基本に、外皮基準(断熱、二重サッシなどの性能、UA値)の効果を加味し算出する。
BEI値が1・0以下であれば省エネ基準(義務基準)に適合していることになる。
省エネ基準への適合は、現在、非住宅関係では2000平方b以上の大規模建築物と300〜2000平方bの中規模建築物を義務化。一方で、300平方b未満の小規模建築物と戸建てなど小規模住宅で努力義務、マンションなど中・大規模住宅(300平方b以上)には届け出義務を課している。
義務基準とは別に、より高い基準を設け、インセンティブを与える誘導基準もある。
これらの基準を引き上げ、適合範囲を広げることで、住宅・建築物分野の省エネ対策の強化を図る。
会合で示されたロードマップ「住宅・建築物に係る省エネ対策強化の進め方」によると、22年度は住宅・非住宅で補助制度の省エネ基準適合を要件化する他、省エネ改修に対する支援を充実。
24年度に非住宅の大規模建築物で省エネ基準を引き上げ、25年度に小規模建築物と住宅の省エネ基準への適合義務化。26年度に中規模建築物(非住宅)の省エネ基準を引き上げる=表参照。
非住宅関係の義務基準の引き上げでは、中・大規模建築物でBEI値を0・8程度以下にすることを想定。誘導基準は用途に応じて0・6か0・7程度以下とする方向も示した。
また、基準の引き上げに当たっては、施行予定時期のおおむね2年前に具体的な水準、施行時期を明らかにするよう努めるとしている。
ロードマップを達成した場合の省エネ量は石油換算で、現行計画での730万`gを大きく上回る889万`gと試算する。
住宅・建築分野のエネルギー消費量は国内の全エネルギー消費量の約3割を占めており、2050年カーボンニュートラルに向け、建築物の省エネ対策の抜本的強化が必要不可欠となっている。
提供:建通新聞社