国土交通省は、直轄工事でのICT施工の対象工種を拡大する。2022年度に「小規模工事」と「構造物工」の2工種を新たに適用。現行の12工種と合わせて全14工種を対象としてICT技術のさらなる活用を進める。
「小規模工事」では、都市部の修繕工事などで行うICT床掘工とICT小規模土工の二つを想定している。小規模現場に対応した小型ICT建機の基準類整備に向けた動きとも連動させ、中小建設企業がICTを活用しやくなるよう、小規模工事への適用を進める。
特に都市部や市街地での修繕工事では、ドローンによる測量が困難で、TLS(地上設置型3次元レーザースキャナー)などのレーザー測量も障害物があると複数回実施しなければならず、効率的な出来形管理が難しい状況にある。
また、狭小箇所では中型バックホウによる施工も難しい。小型建機による施工を行う場合も、小規模現場に対応した基準類の整備、加点などの優遇措置がなく、ICT活用が進みにくい状況となっている。
そこで小型のICT建機などの基準類も整備し、ICT施工の積算対象や工事成績の加点対象とすることで、生産性向上の取り組みの裾野を広げる。
一方、「構造物工」では、ICT活用のための基準類が拡充してきたため、これまで橋脚・橋台で先行してきた適用範囲を、橋梁上部工と基礎工に拡大する。
橋梁上部工、基礎工ともに、構造物の出来形管理にICT施工を広げ、3次元データを活用した維持管理分野の効率化を図る。具体的には、出来形管理に3次元計測技術を活用し、計測時間を短縮させる。
ICT施工の基準類について国交省は、産学官連携による検証を実施中。19年度から民間提案を募集し、毎年20件程度の提案技術を受け付けており、実用性が認められた技術は順次、基準類を策定・改定している。
21年度の提案技術では、橋梁上部工を対象としたTLS計測による出来形管理技術などを対応方針A(実用性が認められる。バックデータの蓄積がある。業界ニーズが高い)と判定。今後、精度検証し要領化を検討していくことになる。
提供:建通新聞社