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2021/07/16

小型建機とスマホで中小企業にICT普及

 国土交通省は、中小建設業にICT技術を普及させるため、小型のICT建機やスマートフォンなどの汎用製品を使った測量技術の活用に本腰を入れる。8〜9月に「ICT普及促進ワーキンググループ(WG)」を設置し、小規模現場に対応したICT技術の活用方法を検討する。今秋にも活用技術の現場実証を実施し、基準類などを整備した上で、2022年度から現場での導入を図る。7月14日に開かれたICT導入協議会で方向性を示した。
 小規模な建設現場ではマシンコントロールによる施工を行っても建機の稼働率が低くなり、費用面での割高感が強い。このため小型建機を活用したICT施工のニーズが高まっており、建機メーカーで小型建機用のマシンガイダンス技術などの開発が進んでいる。
 また、スマホなどの汎用製品の活用では、携帯電話のL@DAR(Light Detect@on and Ranging)機能を使った測量技術などが開発・実用化されている。ただ、こうした汎用製品を使った測量計測などの新技術は、基準類などが整っていないのが実情だ。
 こうした状況を踏まえ国交省は、有識者、発注機関からなるICT普及促進WGを設置し、小規模現場に対応したICT技術の活用方法を取りまとめる。今秋にも国総研などで現場実証を行い、小規模現場で活用できる有用なICT技術を洗い出し、基準類を整備する。
 国交省が集計したICT施工の実施状況によると、直轄土木工事は公告件数、実施件数とも順調に増加している。20年度は公告件数の8割超でICT施工を実施。実施率は19年度より2ポイント伸びた。
 一方、都道府県・政令市は20年度の公告件数が前年度から倍増したものの、実施率は8ポイント減少。ICT施工の実施率が3割に満たない状況が続いている。
 国交省の担当者は、「周知が進んだことで自治体でも公告件数は増えたが、工事の規模感(直轄工事と比べ小規模な工事が多い)から、地域の中小建設企業がICTを活用するメリットを感じていない」と実施率低下の要因を分析する。
 その上で、実施率を上げるためには「小型建機やスマホなどコスト的な負担が少ない技術の基準類を整備し加点するなど、中小建設業が現場で使ってみようと思える環境を整備することが、ICT施工の全体の底上げにつながる」と考える。
 本年度はこの他、起工測量から電子納品の一部の段階で3次元データ活用を選択できる「簡易型ICT活用工事」の継続、「発注者指定型」と「施工者希望型T型」の拡大検討、全地整でのアドバイザー制度の創設に取り組む。
 協議会の冒頭、岩見吉輝総合政策局公共事業企画調整課長は、「担い手確保のためにも自社の生産性を上げていくことが必要。ICT活用を生産性向上を考えるきっかけの一つにしてほしい」と話した。

提供:建通新聞社