国土交通省は、高速道路の更新事業の適切な実施に向け、大規模更新・修繕事業を繰り返し実施する必要があるとする新たな視点案をまとめた。構造物は修繕を繰り返すにつれ性能回復が小さくなり、修繕の間隔も短くなるといった新たな知見を踏まえたもので、性能低下が進展しているものについては早期に更新事業を行う必要があるともした。6月28日の社会資本整備審議会国土幹線道路部会で提示した。
視点案によると、例えば橋梁の床版では、舗装修繕時に床版上部を薄く切削することを繰り返すことで床版の厚さが減少し、修繕をしても強度や耐久性が十分には回復しなくなり、その後の修繕間隔が短くなるといった高速道路会社で得られた知見を提示。構造物の性能が限界に達する前に抜本的な回復を図るため、大規模更新と修繕を繰り返し実施する必要があるとの考えを示した=イメージ図。
併せて、大規模更新・修繕後もライフサイクルコストを最少化するための予防保全を実施するとともに、その内容や実施時期を適切に見直すことで、大規模更新・修繕の間隔を長くすることができるとした。
5年に一度の省令点検に合わせた詳細調査で新たに劣化が明らかになった場合、早期に更新事業に追加する必要性も示した。
また、メンテナンスデータを管理者間で共有し共同で研究する仕組みを構築することや、大型車が構造物に与える影響をさらに分析することも提案。大型車両の過積載は、全交通の0・3%を占め、道路橋の劣化に与える影響の9割を引き起こしているとされる。
同部会では、今後増加する道路構造物の大規模更新・修繕に備え、新たな知見を踏まえ、維持管理・更新を適切に行っていくために重視すべき新たな視点を洗い出す。
提供:建通新聞社