国土交通省は、社会資本の維持管理を包括的に発注する「地域維持型契約方式」の2020年度の活用状況をまとめた。都道府県で約半数となる23団体(試行含む)が活用する一方、市区町村で活用した団体は全体の約15%と2割にも満たないことが分かった。同方式は、建設企業が減少傾向にある地域で、社会資本の維持管理を包括的に発注する契約方式。災害応急対策や除雪、修繕、パトロールへの導入効果が高いとされるが、競争性の確保や受注機会の減少といった懸念から、活用の裾野が広がらない現状が見えた。
国交省のアンケート調査によると、20年度に地域維持型契約方式を活用した都道府県は23団体。活用団体での実施体制(契約形態)は、JVと事業協同組合の両方が5団体、JVが13団体、事業協同組合が2団体などとなった。
活用中の団体からは、実際に活用するに当たっての課題として、業者間や地域の調整・連携が多く挙げられた。
一方、未活用の都道府県(24団体)では、活用しない理由に「現状の契約方式で不都合・支障が生じていない」ことを最も多く挙げた。活用するための課題は、競争性の確保や受注機会の減少、受注者の負担増への懸念が多かった。
具体的には「地域維持型はほとんどが組合により受注されているため、競争性が働かないデメリットがある」「入札参加者が減少し競争性が低くなることで事業費の増加が懸念される」「組合方式では、協同組合で建設業許可を取得し、常時、専任技術者を置いておく必要があり、費用面や人的な面で負担が生じる」といった課題を指摘する声があった。
市区町村での活用は全1721団体中251団体にとどまる。国交省は、市区町村でのさらなる導入促進に向けて検討の必要があるとし、ブロック監理課長等会議で課題を整理、改善策を検討していく。
市区町村の活用団体をブロック別で見ると北海道・東北が70団体で最も多く、関東甲信が54団体、九州・沖縄が30団体で続いた。残る5ブロックは全て30団体以下となり、最少は四国の12団体だった。
提供:建通新聞社