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2021/06/22

不正資格者繰返配置で営業停止45日以上

 「技術検定の信頼を揺るがす行為は重い」―。国土交通省は、技術検定の実務経験を偽る不正受験が相次いで発覚したことを踏まえ、建設業法に基づく監督処分基準を改正し、不正に資格を取得した者を現場に配置した企業に対する罰則を強化する。虚偽の実務経験の証明を行い、不正な資格者を繰り返し工事現場に置いた場合、45日以上の営業停止処分を科す。監督処分基準の改正案をまとめた。パブリックコメントを経て7月中の施行を目指す。
 改正案によると、技術検定の受験または監理技術者資格者証の交付申請で虚偽の実務経験の証明を行い、不正に資格または監理技術者資格者証を取得した者を、主任技術者または監理技術者として繰り返し工事現場に配置した場合、45日以上の営業停止にする。
 主任技術者の不設置を繰り返した場合の営業停止期間(22日)の2倍を超える厳罰な処分で、不正受験の抑止を狙う。
 個人に対しては、受験検定の受験禁止の措置に関する基準の一部を改正(建設業法施行令)。該当する行為として、「出願に関する不正行為」を新たに追加する。故意ではない単純な申請ミスでも1年間の受験禁止となる。極めて悪質な虚偽の出願(替え玉受験、無資格受験など)は従来通り3年間の受験禁止となる。
 不正受験は2019年度に大手ハウスメーカーや建設会社で発覚。本来は実務経験として認められない工事内容や実務経験の重複カウントにより、受験要件に満たない実務経験の技術者が施工管理技士資格を取得していた。各企業ともに実務経験の要件を十分に認知せず、社員の実務経験を管理・記録する体制も不十分だったとされる。
 国交省ではその後、有識者の意見を踏まえ、不正防止対策を検討。受験者個人への合格取り消しや3年間の受験禁止といった従来の措置に加え、虚偽申請に対して、企業名の公表や企業に対する監督処分の厳格化など企業への罰則適用を検討した。
 今回の改正では、八王子のアパート階段崩落事故など社会的に影響を及ぼす祖雑工事が相次いでいる現状を重く受け止め、粗雑工事を行った者に対する罰則も強化。施工段階での手抜きなどにより、工事目的物に重大な瑕疵(かし)が生じた場合、15日以上の営業停止とする。低入札価格調査が行われた工事であれば30日以上の営業停止(複数あれば45日以上)とする。ダンピング対策として低入札の抑制も狙う。
 この他、建設会社がサブリースによる賃貸住宅経営などで家主を不当に勧誘した場合、営業停止処分にすることも盛り込んだ。役員が懲役刑になると7日以上の営業停止となる。

提供:建通新聞社