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中央ニュース

2021/06/21

不当な乗率設定「だめ」 自治体に要請

 国土交通省は、公共工事に従事する技能労働者の賃金を引き上げるため、「適正な予定価格の設定」の取り組みを強化する。特に、見積もり時に不当な乗率を設定している地方自治体に対して、事前に乗率の妥当性を確認するよう働き掛けを強める。
 不当な乗率設定については、受発注者の意見交換会で指摘があった。受注者から「予定価格の設定は設計図書が適切であることが前提」にもかかわらず、「資材単価で、メーカ公表価格へ独自に不透明な乗率を掛けている自治体がある」「設計書(積算内訳)が公表されないため採用単価が不透明」といった意見があった。
 乗率を設定すること事態は違法ではない。ただ、メーカーの販売希望価格に対し、市場実態や妥当性を確認することなく、発注者が独自に乗率を設定することは公正性・透明性を損なう恐れがあるとしている。
 自治体に対して国交省の担当課は、見積もりなどを参考にして価格を設定する場合、妥当性を確認した上で適切に設定するように働き掛ける。
 併せて、直轄工事での取り組み例を示す。乗率の設定は土木より建築の現場で多く見られるため、直轄の営繕工事では、メーカや専門工事業者の見積もり価格を参考に単価を算定する場合、必要に応じてヒアリングを行い、資材の実勢価格帯(流通価格)を確認している。
 国交省は今春、次世代の担い手確保に向けて、建設業団体と「おおむね2%以上の賃金上昇の実現を目指す」ことを合意。公共工事の受注者による適正利潤の確保を通じて、技能労働者の賃金を引き上げるための環境整備を図っている。「適正な予定価格の設定」の取り組み強化はその一環となる。

提供:建通新聞社