国土交通省は、インフラシステム海外展開行動計画2021をまとめた。政府が重要な成長戦略に位置付けるインフラシステムの海外展開に向けた指針と施策を示した。従前から取り組んでいる鉄道、港湾、空港など9分野に、新たに「交通ソフトインフラ」を追加。「都市開発・不動産開発」分野にスマートシティを盛り込んだ。
交通ソフトインフラは、デジタル技術を活用した取り組みの一環。ASEANをはじめとした海外市場のニーズ調査、案件発掘調査などを行い、官民連携による案件形成を目指す。MaaSなどの交通ソフトインフラは実証実験段階のものが多いが、国内の実績にとらわれることなく海外展開を図っていく構えだ。
米国・欧州・中国でのMaaS市場規模(17年は約9兆6000億円)は急速に拡大するとも予測され、アジア諸国でもこうした交通ソフトインフラ技術の普及・応用が期待されている。
スマートシティについては、すでに「ASEAN相互協力による海外スマートシティ支援策(Smart JAMP)」などを打ち出しており、今後、具体的な案件形成調査を加速していく。ブルネイ、カンボジア、インドネシアなどが対象となる。
同行動計画は毎年改定している。今回は、昨年12月に策定されたインフラシステム海外展開戦略2025を踏まえて、▽ポストコロナを見据えたデジタル技術の活用▽地球規模での気候変動への対応などによる経済と環境の好循環の実現▽FOIP(インド太平洋地域)への寄与―を強化すべき取り組みと位置付けている。運営・維持管理と人材育成・技術移転をパッケージ化した提案にも取り組む。
提供:建通新聞社