住宅・建築物における省エネ対策の在り方・進め方(素案)がまとまった。6月3日に開かれた国土交通省、経済産業省、環境省と有識者による「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の第4回会合で提示された。省エネ基準の段階的引き上げや、太陽光発電設備設置の標準化などにより、住宅・建築物分野の脱炭素を進める。
素案では、省エネ対策を強化するに当たっての基本的な考え方として、▽省エネ性能の底上げ(ボトムアップ)▽省エネ基準の段階的引き上げ(レベルアップ)▽市場全体の省エネ性能の向上(トップアップ)―の3点を設定した。
ボトムアップでは、住宅を含めた省エネ基準適合義務の対象範囲を拡大する他、中小事業者に対する断熱施工の実地訓練を支援し、供給側の体制整備の充実を図ることとした。
レベルアップは、住宅の断熱性能の向上や高効率設備の設置を目指すZEHなどの将来目標を踏まえて、省エネ基準を段階的に引き上げることとした。当面は、大規模建築物で引き上げを先行し、用途別、規模別に引き上げる水準の検討を進める。基準の見直しに備えて、省エネ性能の施設設計・運用実態に関するデータ整備も行う。
太陽光発電設備については、新築の住宅・建築物で設置を標準化するとともに、既存施設でも可能な限り設置を進めるとした。
同検討会は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本のエネルギー消費の約3割を占める住宅・建築分野での省エネ対策の在り方を、将来のある時点(2030〜50年ごろ)から現在を見つめる形で探っている。委員からは「取り組みの具体的な道筋、目標数値を示すべき」「太陽光発電以外にも脱炭素、省エネにつながる再生可能エネルギーはある」といった意見が出た。6月下旬に案として取りまとめる予定。
提供:建通新聞社