国土交通省は、2020年度の業務に関する運用指針調査の結果を公表した。調査結果を見ると、履行時期の平準化について、国の発注機関の8割以上で第4四半期に履行期限が集中している状況にあった。ダンピング対策は市区町村で約半数が未導入、プロポーザル方式の導入は市区町村で遅れていた。大きな傾向は前回調査から変わっていない。今後、発注者協議会、監理課長等会議、都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)を通じて、各発注機関と調査結果を共有し、発注関係事務のさらなる改善を図るとしている。
今回の調査結果を見ると、履行時期の平準化で、納期を第4四半期に設定している業務の割合が最も高かったのは国の83・5%だった=図参照。特殊法人の58・0%、都道府県の66・3%、政令市の67・9%、市区町村の58・1%の業務が第4四半期に納期を設定していた。
国交省の直轄業務に限ると第4四半期に設定している業務の割合は約60%(第1〜3四半期、繰り越し各約20%)となっている。
ダンピング対策では、測量、建築設計、土木コンサルタント、地質調査の全4業種で、低入札価格調査基準・最低制限価格を未導入と回答した発注者は、国で1機関、特殊法人で42法人、都道府県で1団体、市区町村で895団体。未導入率は特殊法人が全体の33・9%、市区町村が全体の52%と対応の遅れが目立った。
企画提案で受注者を選定するプロポーザル方式は、国5機関、特殊法人16法人、都道府県2団体、政令市4団体、市区町村879団体が全4業種で未導入と回答。企業・配置予定技術者の実績などを評価する総合評価を未導入なのは、国5機関、特殊法人60法人、都道府県14団体、政令市10団体、市区町村1578団体。ともに市区町村で導入率が低い状況が続いていた。
設計変更に関する指針は、特殊法人、都道府県、政令市の約7割で策定または準用していた。国、市区町村で策定または準用していたのは約5割にとどまった。
適正な履行期間の設定に当たり、参考にする基準を定めているか、または、他団体の基準を準用していたのは都道府県で9割、政令市で8割に上った。国は5割にとどまった。
同調査は全ての公共事業の発注者を対象に実施。測量、建築設計、土木コンサルタント、地質調査の4業種の発注関係事務の実施状況を調べた。今回で2回目。対象機関は国19機関、特殊法人124法人、都道府県47団体、政令市20団体、市区町村1721団体。調査時点は20年11月1日。
改正品確法では測量・地質調査・設計業務についても工事と同様の品質確保を発注者に求めている。品確法の運用指針では、国に発注関係事務の実施状況を毎年調査し、結果を公表することとしている。
提供:建通新聞社