2021年度から25年度を計画期間とする新たな社会資本整備重点計画(第5次)が5月28日に閣議決定された。防災・減災など従前の四つの重点目標に、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)と脱炭素化に関する二つの目標を新たに追加。重点目標を全六つとし、それぞれに具体的な事業・施策を盛り込んだ。防災・減災関係では、計画期間内に約550水系で流域治水プロジェクトを策定する他、緊急輸送道路上の橋梁の耐震化率を84%に引き上げる計画だ。
社会資本整備重点計画は、社会資本整備を戦略的・計画的に進めるために国土交通省が策定している。第5次計画では重点目標ごとに、目標達成に向けた19の政策パッケージを設定した上で、重点的に取り組む具体的な事業・施策を掲げた。さらに、具体的な事業・施策には到達目標(KPI)を設定し、達成状況を分かりやすくした。
主な重点施策をみると、流域治水の推進に向けては、水災害リスクなどを分かりやすく伝えることで、企業や住民のあらゆる関係者が協働して取り組むこととし、約550の1・2級水系で流域治水プロジェクトの策定を目指す。併せて、河川整備率を1級河川で約73%、2級河川で約71%に高める。
ゼロメートル地帯などでの津波・高潮対策は、海岸堤防などの整備率を64%に引き上げる。高潮対策ではハザードマップを作成・公表する市区町村数の目標を設定した。
地域の防災拠点となる施設の耐震化については、計画期間内に全ての官庁施設で耐震基準を満たすようにする。
交通・物流関係では、高速道路のミッシングリンク改善率や高規格道路の4車線化優先整備区間の事業着手率、三大都市圏の環状道路整備率でKPIを設定。鉄道施設で豪雨対策などを重点的に進めることとした。
インフラメンテナンスは予防保全型への転換を図り、舗装、河川、下水道、公園などの修繕は全て予防保全型とする。
新技術の導入・普及促進ではインフラメンテナンス国民会議でのシーズ・ニーズのマッチング件数の達成目標を400件とした。
建設現場の担い手確保に関しては、25年度末までに直轄、自治体の全ての工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を目指す。
デジタル化では3次元地図の基盤となる標高データの整備、ICT活用工事の実施率、脱炭素に向けては下水道バイオマスサイクル率や住宅ストックのエネルギー量削減率などで目標を設定した。
閣議決定を終え赤羽一嘉国交相は「第2次交通政策基本計画と一体で実行することで、安全・安心、豊かでゆとりある暮らし、経済成長を実現させたい」と話した。
提供:建通新聞社