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2021/05/25

公共事業費「量から質への転換急務」

 財務省の財政制度等審議会は5月21日、今後の財政健全化に向けた建議を麻生太郎財務相に提出した。『防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策』の初年度に当たる2020年度第3次補正予算には公共事業費1・7兆円の大型予算を計上。建議では、国際比較の面で日本の公共事業費が高い水準にあると強調し、「(公共事業費が)漫然と高水準で推移することは避けなければならず、『量』から『質』への転換のさらなる進展が急務」と指摘した。
 財政審は、春・秋の年2回、政府の次年度予算の編成に対して建議する。各省庁は、今回の建議を踏まえて22年度当初予算案の概算要求を今夏にまとめる。
 建議では、公共事業の事業評価の在り方について問題提起。公共事業費ベースで半分以上の事業が費用便益分析(B/C)を活用せずに事業決定しており、「真に必要なインフラを峻別するためにも費用対効果を把握した上で事業実施を判断する仕組みを22年度までに検討すべき」と求めた。
 さらに、道路事業・港湾整備事業の新規事業採択時の費用便益分析で、過大に便益を算定していた事例があることを問題視。今後の便益算定を慎重な将来推計に基づいて行い、事業完了後に下方修正されることがないようにすべきとした。
 一方、i−Constructionで導入したICT施工について、導入後5年を経過しても、コスト縮減が進んでいないと指摘。ICT施工は、労務費の減少を機械費の増加が上回り、施工費が通常施工の1・1倍になると導入時には想定されていたが、5年後の20年度の施工費も依然1・12倍にとどまっていると指摘。この原因を分析した上でコスト縮減の見通しを示し、コスト縮減による公共工事の効率化を図るよう求めた。 

提供:建通新聞社