国土交通省は、2020年度の入契法に基づく実施状況調査の結果を基に、地方公共団体における平準化の進み具合を数字やグラフを用いて見える化した。さらに項目も充実し、各市区町村の工事規模別の平準化率や、債務負担行為の設定の有無を新たに見える化するなど、よりきめ細やかに実態を反映した形だ。これに合わせて5月21日、総務省と連名で都道府県、政令市に対し一層の取り組み推進を要請。見える化を通じて平準化推進の全体の底上げを図る。
平準化に向けては、地域発注者協議会で新・全国統一指標の地域目標を設定し、継続的にフォローアップ。併せて入契法の実施状況調査で進捗状況を見える化するとともに、平準化に消極的な自治体を個別に指導し、改善が見られない自治体に対して指導を強化してきた。
20年度は各市区町村の工事規模別の平準化率、債務負担行為の設定の有無などを見える化した。
このうち債務負担行為の設定の有無では、地方単独事業と、補助金・交付金事業での活用状況を比較する形で見える化した。人口10万人以上の市区では全262団体中200団体が地方単独事業で債務負担を活用していたが、補助金・交付金事業での活用は111団体にとどまった。さらに人口規模が小さい自治体ほど債務負担が活用されていない現状が浮き彫りになった=図参照。
国交省は、全体としては平準化の効果が一定程度あったとする。国が推奨する平準化推進の五つの取り組み「さしすせそ」は人口10万以上の市で一定の浸透が図られたとし、今後、人口10万未満の団体に裾野を広げていくとしている。
「さしすせそ」のうち、「(さ)債務負担行為の活用」「(す)速やかな繰越手続き」は都道府県や政令市で進んだ。一方、「(し)柔軟な工期設定」はあまり浸透していない状況で、今後の課題とした。債務負担行為については、工期が1年未満の工事での活用がさらなる平準化につながると分析する。
「さしすせそ」以外では▽平準化率の見込みの試算・管理▽平準化を踏まえた発注計画の策定▽他団体との取り組み事例の共有―を新たに見える化した。
今後、平準化の取り組みが遅れている人口10万未満の市に対して個別ヒアリングを実施する他、平準化の実態を受発注者間で共有する「平準化カルテ」の作成、「平準化統一フォーマット」の全国市町村への普及に取り組む予定。
国交省は21日付で都道府県、政令市の担当部局、議会事務局、建設業団体に対して、見える化を踏まえた平準化の推進を要請。都道府県単位で開かれる公共工事契約制度運用連絡協議会(公契連)などで、取り組み強化を働き掛けていく。
提供:建通新聞社