自民党・公明党の所属国会議員でつくる日本建設職人社会振興議員連盟は、職人基本計画見直し検討会(第2回)を開いた。基本計画策定後の状況変化への対応や墜落転落対策について、日本建設業連合会や全国建設業協会など5団体に聴き取り(ヒアリング)を行った。団体からはフルハーネス義務化が墜落・転落防止に効果が認められることや、落下静止器具の正しい使用が現場で徹底されていないことの説明があった。
日建連や全建は、墜落・転落災害を含め重大な災害が着実に減少傾向にあると分析。日建連は墜落・転落防止にフルハーネスの効果が大きいと認めた上で、災害が多発している屋根・屋上、作業床など端部・開口部での墜落・転落対策が急務とした。一方、一側足場での墜落・転落による死亡災害が多発しているとし、設置基準に関する検討が必要と提案。この他、親綱支柱と防網の使用基準の検討、建設現場へのロボット導入に伴う安全面での法整備が必要とした。
住宅生産団体連合会は、1000棟当たりの労災発生件数が特に新築工事で増加傾向が見られるとし、安全意識の低い中小工務店の底上げをどうするかが喫緊の課題と説明した。
低層住宅現場では、大手ハウスメーカで順次、二側足場の採用が進んでいるが、中小工務店では作業上危険度が高いとされる一側足場がいまだに主流。ただ、墜落・転落の原因については「落下制止器具の正しい使用が徹底されていないこと、脚立を用いた不安全行動がされていることが大きい」と結んだ。
職人基本計画は、2016年12月に成立した建設職人基本法に基づき、17年6月に策定。安全衛生経費の確実な支払いや墜落・転落災害の防止対策の充実などの具体策が盛り込まれている。
建設職人基本法では超党派の国会議員でつくる「『建設職人基本法』超党派国会議員フォローアップ推進会議」が、手すり先行工法の設置を義務化するための法改正を目指していたが、建設業団体の反対を受けて再検討。与党議連が仕切り直し、基本計画策定後の職人の安全と健康に関する状況の変化を踏まえる形で、今年2月に基本計画見直しの検討に着手した。
今回の検討会は4月12日に開催。全国中小建設業協会、建設労務安全研究会を含めた5団体に、▽基本計画策定後の状況変化への対応(女性活躍の推進、外国人の安全対策、高齢化対策、新型コロナウイルス感染症の拡大、新技術の活用)▽労働災害の発生状況▽墜落転落対策―などをヒアリングした。
次回は5月に、建設産業専門団体連合会、全国建設労働組合総連合会、日本鳶工業連合会、全国仮設安全事業協同組合への聴き取りを予定する。
冒頭、検討会の会長を務める桜田義孝衆院議員=写真=は「足場などからの墜落転落の防止に向けては、安全衛生経費を適切に確保するためのより具体的な検討が必要」とし率直な意見を求めた。
提供:建通新聞社