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中央ニュース

2021/04/08

ダンピング対策を強化 自治体に改善指導

 国土交通省は、地方自治体にダンピング対策の強化を働き掛ける。低入札価格調査基準価格と最低制限価格に最新の中央公契連モデル(2019年3月)の採用を求める他、基準を下回った応札者を実質的に排除できるよう、施工確保措置の拡充、施工体制確認型総合評価方式の活用、失格基準の引き上げといった改善策を講じてもらう。都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)と連携し、対策が進んでいない自治体には個別に指導する。
 国交省と建設業4団体は3月30日の意見交換会で、2021年度に技能労働者の賃金上昇率を「おおむね2%以上」とすることで一致した。国交省は、企業が技能労働者の賃上げに踏み切れるよう、公共事業の事業量の確保とともに、ダンピング対策を強化して安値受注を許さない環境を整える。
 まず、国の中央省庁が採用する「中央公契連モデル」を大きく下回る調査基準価格や最低制限価格を設定する市区町村が依然として多く、19年3月に決定した最新モデルの採用や最新モデルに準拠した独自基準見直しなどを働き掛ける。
 調査基準価格を下回った応札者に対する「施工確保措置」の充実も呼び掛ける。直轄工事では、調査基準価格を下回った応札者に対し、配置技術者の増員や監督・検査の強化、施工体制の点検頻度の増加といった7項目=表参照=の厳しい施工確保措置を求めている。
 一方、自治体の施工確保措置の導入状況を見ると、都道府県で平均3・3項目、政令市で平均2・2項目にとどまる。ダンピングを抑制する観点で、直轄工事並みの施工確保措置を講じるよう、各自治体に働き掛ける。
 調査基準価格を下回った応札者の評価点を減点する「施工体制確認型総合評価方式」についても、都道府県では9団体(政令市はゼロ)の採用にとどまっており、活用を求める。
 過度なダンピングを防止するため、調査基準価格の下に「失格基準」を設けている自治体に対しては、失格基準を引き上げて調査基準価格との差を可能な限り小さくするよう求める。調査基準と失格基準の差は、都道府県平均で約10ポイントあるが、例えば調査基準と失格基準の差が20%ある県では、低入調査対象の応札者のうち、失格となった応札者は5%にとどまるという。
 失格基準を引き上げ、調査対象になった応札者を実質的に排除できる制度改善を求める。

提供:建通新聞社