一般社団法人秋田経済同友会は24日、秋田市中央市民サービスセンター(センタース)で「インフラメンテナンス公開啓発セミナー」を開催、県や市町村、業界団体などから85名が参加した。
同セミナーは、道路や橋、上下水道、公共建築物をはじめとした国民生活を支える社会インフラの老朽化が進み、対策が全国的な課題となっていることから、国が昨年11月に「インフラメンテナンス国民会議」を設立し、産・学・官・民の連携によるメンテナンスの効率的、効果的な体制づくりを進めていることに呼応し開催したもの。
はじめに、秋田経済同友会の小野泰太郎地域開発委員長が「全国で6番目に広い本県において、将来人口が減少した際にどうインフラ整備を行っていくかが課題」としたうえで、「今回のセミナーを一つの契機として、これからの仕事に生かしてほしい」とあいさつした。
続いて、来賓の佐藤和義県建設部次長があいさつに立ち「インフラメンテナンスの現場は様々な課題に直面している。課題の克服には県・市町村の連携はもとより、社会全体で認識を共有して取り組んでいくことが重要だ」と述べた。
講演では「地方におけるインフラメンテナンスの課題と対応策」の演題で、国土交通省総合政策局公共事業企画調整課の佐藤靖浩調整官、「人口減少時代における生活排水処理事業の取組」の演題で、田口秀男県建設部下水道課長がそれぞれ登壇した。
国土交通省の佐藤調整官は、全国の道路橋やトンネル、下水道管渠などについて、今後20年で建設後50年以上を経過する施設の割合が加速度的に高くなることや、地方公共団体等管理の社会資本が多いことに触れ、国による直轄診断や財政的支援、研修の強化など地方公共団体への支援が必要不可欠とした。
また、インフラ整備では、将来的な担い手不足が懸念されており、費用の平準化・軽減や作業の省人化、効率化を図っていくことが必要として、地方フォーラム活動や企業連携・技術マッチング、インフラメンテナンス大賞など「インフラメンテナンス革命」の取り組みを紹介した。
県下水道課の田口課長は、生活排水処理に求められる様々な役割や、本県における生活排水処理施設の整備・普及状況を説明。今後は下水道処理施設等の広域共同化を推進するほか、ストックマネジメント計画を策定(平成31年度)し、施設の適切な維持管理を行っていくとした。
質疑応答では、学校の統廃合における旧校舎の有効な利活用案について質問があがった。国土交通省の佐藤調整官は「国が集約再編のガイドラインを示して地方自治体が行動しやすくなるようにしている」としたほか、五城目町や大館市の旧校舎を利用し、ドローンの学校を運営している株式会社スリーアイバード、東光鉄工株式会社の例を紹介した。
提供:
秋田建設工業新聞社