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建通新聞社(東京)
2025/03/26

【東京】都 水道管の漏水調査に衛星データとAI

 東京都水道局は配水小管と給水管の漏水調査でデジタル技術を活用できるかどうか検討している。2024年度はスタートアップの天地人(中央区)が衛星データとAIを活用して漏水リスクを評価する技術を7区で実証。最も漏水リスクが高いと評価した45地区のうち、21地区で漏水の実績を確認するなど一定の信頼性が認められたという。25年度は漏水リスクが高かった地区で現地調査を行って技術の信頼性を引き続き検証する。
 都内の水道管の漏水率は毎年度3%程度で推移しており、23年度は3・9%だった。総修理件数は7885件で、給水管が7607件(構成比96・4%)、配水小管が266件(3・4%)、配水本管が12件(0・2%)と、給水管・配水小管の漏水が大半を占める。
 漏水は水資源の浪費や道路冠水・陥没といった2次被害を発生させるリスクにもなるため、適切な対応が必要。ただ、近年は漏水調査に当たる担い手が減少しており、総延長が2万7520`に及ぶ都内の水道管を効率的に調査する技術の確立が求められている。
 水道局が「漏水リスク評価業務」を委託した天地人は、衛星データとAIを活用した漏水リスクの診断と、点検や修理などの記録管理を支援するサービスを手掛けている。
 漏水リスクの診断は、人工衛星や交通量、水道局保有の管路情報から得られるデータを基に実施。100b×100bの範囲ごとに、今後2年間で漏水が発生するリスクを5段階で評価する。
 24年度の業務は給水管と配水小管が対象。20年度までの管路情報や漏水実績をAIに学習させて漏水リスクを評価し、21年度以降の漏水実績と照らし合わせて評価の妥当性を検証した。
 その結果、漏水リスクが最も高いと評価した45地区(発生率20%以上)のうち、21地区で実際に漏水が発生した実績を確認。水道局は「一定の信頼性が認められた」と天地人の診断技術を評価している。
 25年度は漏水リスクが高い地区で現地調査を実施。24年度の評価結果と照合させて、診断技術の信頼性をより詳しく検証する。
〜配水本管でも新技術を実証〜
 また、25年度は修理件数が少ない配水本管でも漏水調査の効率化に向けた検討を始める。
 配水本管は交通量が多い車道の地下深くに埋設されていることが多く、地上から漏水音を聞き取るのが難しい。一方で、配水本管のバルブなどにセンサーを設置し、水道管に伝わる漏水音をAIが分析して漏水位置を特定する新たな技術が実用化されたことから、同様の技術の実証と効果の検証を行う。
 センサーとAIで漏水位置を特定する技術は、大阪市の工業用水道でコンセッションを手掛ける「みおつくし工業用水コンセッション」(前田建設工業や日本工営が主な出資者の特定目的会社)が開発・実用化した。提供:建通新聞社