東京都教育庁は江戸川区下鎌田地域の区有地に江戸川地区第二特別支援学校(仮称)を新設する。小・中学部の知的障害部門を置く。2026年度に基本設計を始め、27年度に実施設計に入る見込み。32年度以降の開校を目指す。24年度内に特別支援教育推進計画(第2期)の「第3次実施計画」(25〜27年度)を策定し、同校を含む7校の施設整備を新たに位置付ける。
江戸川地区第二特別支援学校を新設する下鎌田地域には、区が25年度に既存施設の解体を予定している旧下鎌田小学校(江戸川区東瑞江3ノ11ノ1、敷地面積9283平方b)がある。また、教育庁は特別支援学校の新規整備に伴う基本計画を桂設計(新宿区)に委託しており、3月21日までに成果を得ることになっている。
〜立川学園を増築、石神井特支など5校は改築〜
他に第3次実施計画で施設整備を位置付けるのは既設6校の増改築など。このうち立川学園(立川市栄町1ノ15ノ7)は隣接地に知的障害部門の校舎を増築して高等部を新設する。27年度の基本設計着手と33年度の完成を予定している。23年度に東側の土地8309平方b(国分寺市西町2ノ32ノ14の一部他、地番)の取得に向けた不動産鑑定評価業務を委託していた。
残る5校はいずれも築40年以上が経過しているため改築で対応。個々に見ると、石神井特別支援学校(練馬区石神井台8ノ20ノ35)は北側の敷地(面積7790平方b)に3階建て延べ床面積3034平方bと同2593平方bの校舎棟2棟や平屋601平方bの体育館などが立ち、区道を挟んだ南側の敷地(面積2303平方b)はグラウンドになっている。
仮設校舎を設けた上で、延べ床面積1万2000平方b程度の新施設を整備する。26〜27年度で基本設計をまとめ、27年度中に実施設計をスタートさせる予定だ。32年度の完了を目指す。エスアイ総合研究所(港区)が3月24日までの委託期間で基本計画を担当。二つの敷地の一団地認定などによる制限緩和も検討している。
調布特別支援学校(調布市調布ケ丘1ノ1ノ2、敷地面積6464平方b)は地下1階地上2階建て延べ床面積5728平方bの校舎を建て替える。27年度の基本設計着手と33年度の完成を予定している。
港特別支援学校(港区港南3ノ9ノ45、敷地面積1万0387平方b)の既存施設は3階建て延べ床面積8142平方bの校舎棟と2階建て延べ床面積964平方bの増築棟。現在は高等部の知的障害部門のみだが、小・中学部を新設する。27年度の基本設計着手と34年度の整備完了を目指す。増築棟を延べ床面積4100平方bに建て替える一方、校舎棟に大規模改修を施す方向性の下で社会計画総合研究所(渋谷区)が基本計画を手掛けた。
葛飾特別支援学校(葛飾区金町2ノ14ノ1、敷地面積1万0427平方b)は既存の▽校舎棟=2階一部3階建て延べ床面積6698平方b▽特別教室棟=2階建て延べ床面積612平方b▽特別棟=2階建て延べ床面積340平方b―を建て替える。27年度の基本設計着手と34年度の完成を予定している。RYアーキテクツ(世田谷区)が基本計画を担当。
高島特別支援学校(板橋区高島平3ノ7ノ2、敷地面積1万0282平方b)には延べ床面積5546平方bの校舎や同4821平方bの増築棟などがある。第3次実施計画の期間中に仮設校舎の基本設計を行う。本体工事の基本設計の着手時期は調整中だ。35年度の完了を予定している。
〜特支のニーズ増、仮設校舎で緊急対応〜
東京都教育庁は特別支援学校のニーズ増に対応するため、学校敷地内に仮設校舎を設置する緊急的な対応を取る。現在、水元特別支援学校(葛飾区)と鹿本学園(江戸川区)の2校で基本設計を進めている。それぞれ2025年度の実施設計を経て、26年度の工事と供用開始を目指す。
水元特別支援学校の所在地は葛飾区西水元5ノ2ノ1。鈴木建築事務所(千代田区)が3月31日までの委託期間で基本設計を担当する。一方、鹿本学園は江戸川区本一色2ノ24に立地し、マルタ設計(千代田区)が3月31日まで基本設計を手掛けている。いずれも特別支援教育推進計画(第2期)の「第2次実施計画」(22〜24年度)で増改築などを検討する学校に位置付けていた。
都によると特別支援学校と小・中学校特別支援学級などの利用者数は近年、増加傾向にある。24年度の利用者数は1万4670人。これが27年度に1万5844人まで増え、31年度は1万6485人、34年度には1万6253人に達すると見込んでいる。こうした推計に基づいて立てた施設整備計画を、24年度内に策定予定の「第3次実施計画」(25〜27年度)に盛り込む。
特別支援学校のニーズ増は開会中の都議会でも取り上げられている。2月27日の本会議で一般質問に立った竹平智春氏(公明党、江戸川区)は、「あらゆる手段を講じて教室の確保に取り組むべき」と訴えた。
これに対し坂本雅彦教育長は「受け入れのできる施設を確保する取り組みを速やかに進めることは重要」との認識を示した。一方で、「新設に当たり校舎を建築する場合、基本的な計画を作成し、設計や工事を終えるまで相当の期間が必要」なことから、「現在の学校の敷地の一部を利用し、短い期間で校舎を建築する方法による整備を行う」と表明していた。
提供:建通新聞社