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建通新聞社(東京)
2025/02/20

【東京】都 設計等の総合評価 価格点の算定見直し

 東京都財務局は設計等委託の総合評価方式で、基準価格未満の入札金額に対する価格点を減点する方向で算定式の見直しを検討している。入札金額が予定価格から下がるにつれて価格点が増大し、基準価格と同額で最大の30点に到達。基準価格からさらに下がると価格点も減少して最終的に0点になるイメージだ。基準価格未満での落札が多い現状を踏まえ、低価格受注とそれに伴う品質低下を防ぐ狙いがある。2月19日に入札監視委員会へ説明した。
 現行の算定式では、入札金額が予定価格から基準価格に向かって下がると価格点が27点まで増大。基準価格からさらに下がれば価格点はわずかながら増え続けて最大30点まで付与する。このため、契約の内容に適合した履行がなされない恐れがあるとされる「基準価格」を下回る入札でも一定のインセンティブが生じており、27点以上の価格点を狙った入札が行われていると見ている。
 財務局の分析によると、基準価格未満の応札者に占める落札者の割合は約70%に上る。一方、基準価格より高い応札者の約88%は非落札者で、基準価格を上回ると落札が困難になっている。
 こうした状況を受けて、ダンピング受注の防止と品質確保の観点から、基準価格未満の入札金額に加点している現行の算定式を見直す方向で検討中だ。
 当日の入札監視委員会で説明を受けた委員からは、「基準価格未満で多数の会社が落としていることで、品質上の問題が生じているのか」との質問が出た。これに対し、財務局は「成績評定の結果では明確な差が確認できなかった」としながらも、「現状で品質の低下が見られなくても、将来的に徐々に影響が出てきたり、何らかのしわ寄せが生じたりする可能性がある」として、弊害の未然防止が見直しの背景にあることを伝えた。
 また、「技術点の高い会社に落としてもらうため、基準価格より低い入札の価格点を下げるのか」との質問もあった。財務局は「現状でも技術点1位の会社が落札している傾向が強く、これをさらに強めていこうとするものではない。決して価格を軽視していくという訳ではなく、入札金額の分布が低い方に偏っている状況は必ずしも望ましくないと考えている」と回答。入札金額を「適切な価格に誘導していく」ことが見直しの意図だと強調した。
 さらに財務局は、設計等委託に先行して工事で算定式を同様に見直して運用していることを紹介。工事では「(入札金額が)大きく基準価格を下回れば落札者にはなれないが、若干下回る場合にはなれている」ため、設計等委託でも「技術点が良ければ、基準価格を若干下回っていても取れる形になると思っている」との見方を示した。併せて、工事での見直しについて「業界団体からも肯定的な受け止めを聞いている」と述べた。
 財務局は入札監視委員会での意見も踏まえ、今後制度設計を進めていく方針だ。提供:建通新聞社