東京都建設局は2025年度に石神井川上流地下調節池と境川木曽西調節池、善福寺川上流地下調節池の本体工事をスタートさせる。25年度当初予算と26年度以降の債務負担行為で複数年にわたる工事の原資を確保する。債務負担行為の限度額(期間)は石神井川上流が945億円(26〜33年度)、境川木曽西が297億円(26〜33年度)、善福寺川上流が1170億円(26〜35年度)。このうち石神井川上流と境川木曽西は25年度の入札手続きを通じて施工者を決める。善福寺川上流については都で初めてECI方式を採用しており、技術協力業務を任せた工事の優先交渉権者と価格交渉などを行って25年度内に随意契約を結ぶ見通しだ。
石神井川上流地下調節池は、青梅街道や伏見通りなどの地下に整備する貯留量約30万立方bのトンネル式調節池。武蔵野中央公園内(武蔵野市八幡町2丁目)に発進立坑を、南町調節池内(西東京市南町1丁目)に到達立坑を設け、泥水式シールド工法で延長約1・9`、内径14・3b、土被り約30bの本管トンネルを構築する。34年2月28日の完了を見込む。他に中間立坑や連絡管トンネルなども設ける。
当初は事業費を989億円と算出し、24年度の当初予算と限度額769億5000万円の債務負担行為(25〜31年度)を元手にして、24年度に本体工事を発注する予定でいた。
ただ、国土交通省が国庫補助の採択を保留し、都に費用対便益の再算定を求めたため事業費を精査。各種資機材の価格高騰や公共工事設計労務単価の上昇、建設発生土処分先の変更などを考慮して、事業費を321億円増の1310億円に改めて国庫補助採択を受けた。
建設技術研究所(中央区)が設計を担当している。
境川木曽西調節池は、境川右岸の町田市木曽西地内にある都有地約3000平方bを利用して整備する貯留量約5万立方bの地下箱式調節池。ニューマチックケーソン工法で長さ57・8b×幅36・5b×深さ48bの躯体を築造し、排水ポンプや換気設備、監視制御装置を配置する。上部には鉄筋コンクリート造2階建ての管理棟を建設する。
債務負担行為を設定するのは調節池の躯体や越流堤までで、33年11月30日の完了を見込む。別途33年度から管理棟や機電の工事を実施して、35年度の事業完了を目指す。
建設技術研究所(中央区)が設計を担当した。
善福寺川上流地下調節池は、五日市街道や環状8号線、青梅街道、女子大通りなどの地下に整備する貯留量約30万立方bのトンネル式調節池。善福寺川緑地(杉並区成田西3丁目地内)に発進立坑、杉並区立関根文化公園(同区上荻4丁目地内)に到達立坑を設け、延長約5・8`、土被り約40bの本管トンネルを構築する。道路幅員に合わせてトンネル内径を9b(青梅街道まで)から7・5b(女子大通り以降)に変える必要があるため親子シールド工法を採用する。
パシフィックコンサルタンツ(千代田区)で進める詳細設計に、ECIの技術協力業務を手掛ける鹿島・大成JVの技術提案を反映。2月28日を期限に得る成果を基に同JVと価格交渉を行って、成立すれば本体工事を随意契約する。36年2月29日までに本体工事を終えた後、付帯施設や設備などの工事なども実施して、41年度に全工程を完了させる予定だ。
提供:建通新聞社