東京都都市整備局のまとめによると、沿道建築物の耐震化が必要な緊急輸送道路(特定緊急輸送道路)の通行機能を表す「総合到達率」は2024年12月末で93・8%となり、前回調査の24年6月末現在から0・4ポイント上昇した。都は新しい長期戦略「2050東京戦略〜東京もっとよくなる〜」の案(1月31日公表)で、所有者の耐震化に向けた取り組みを支援して、35年度に総合到達率を100%にする目標を掲げた。
都は特定緊急輸送道路の指標として、20年3月から「区間到達率」と「総合到達率」の二つを採用している。「区間到達率」は都県境の入り口から、特定緊急輸送道路のうち交差点などで区分した特定の部分にまで到達できる確率で、「総合到達率」はその平均値。耐震化率に比べ、特定緊急輸送道路の通行機能の効果をより的確に示す狙いがある。
一方、参考値としている沿道建築物の耐震化率は、前回調査時から0・2ポイント上昇して88・7%となった。1万8280棟ある沿道建築物のうち、旧耐震基準の4827棟の状況は▽耐震化の改修などを実施済み=2767棟(前回調査時から36棟増)▽耐震化が未完了=1987棟(34棟減)▽耐震診断を未実施=73棟(2棟減)―となっている。
新たな長期戦略の案では、改修などによる沿道建築物の耐震化が24年度末で累計1802件になる見込みとした。25〜27年度の3カ年アクションプランとして年間186件の改修などを行い、35年度の総合到達率100%達成につなげる。緊急輸送道路の沿道建築物などの情報を地理空間データと連携する新たな取り組みも盛り込んだ。
25年度当初予算案に緊急輸送道路沿道建築物の耐震化で29億6300万円を計上。耐震アドバイザーの派遣や耐震診断・設計・改修費用の助成を継続する。
提供:建通新聞社