警視庁は田無警察署(西東京市)と蔵前警察署(台東区)の改築に向けて、2025年度に基本設計をスタートさせる。田無警察署は移転改築で延べ床面積1万2915平方b、蔵前警察署は現地改築で延べ床面積7820平方bの新庁舎をそれぞれ建設する計画だ。いずれも28年度中に実施設計を終えて工事にも着手。田無警察署を30年度、蔵前警察署を31年度に完成させる予定でいる。全体事業費は田無警察署で118億円、蔵前警察署で93億円を見込んでいる。
田無警察署の所在地は西東京市田無町5ノ2ノ5。青梅街道沿いの敷地1613平方bに、鉄筋コンクリート造地下1階地上4階建て延べ3640平方bの現庁舎が立っている。1978年に完成した。
老朽化が進んでいるだけでなく、署員の増加に伴い施設が手狭になっている。加えて、駐車場不足を補うため契約してきた民間駐車場の返還も求められている。
これらのことから現地での建て替えは困難と判断。近傍の西東京市田無町5ノ10ノ1にあるJA東京みらい田無支店の跡地3274平方bを移転改築用地として取得した。新青梅街道や農協前通りなどに面した場所だ。
新庁舎の規模は地下1階地上5階建て延べ床面積1万2915平方bを予定。2023年度に久間建築設計事務所(武蔵野市)が基本計画策定業務を手掛けた。30年度の新庁舎完成を経て、31年度に既存施設を撤去する。
全体事業費118億円のうち、建築コストは工事費105億1100万円と委託料12億6100万円の合計117億7200万円と見積もっている。25年度の当初予算案に基本設計費として7200万円を計上した。
田無警察署の建て替えに合わせ、地元からは、新庁舎に運転免許更新センターの設置を求める声が上がっている。22年11月には西東京市長と東久留米市長が警視庁に要望書を提出。警視庁は「設置の必要性については認識をしている。手続きが進んでいく中で調整する」などと回答していた。
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一方、蔵前警察署の所在地は台東区蔵前1ノ12ノ47。交通量の多い蔵前橋通り沿いの敷地2208平方bに、鉄筋コンクリート造6階建て延べ4411平方bの現庁舎が立っている。1973年に完成した。
築後51年以上が経過して老朽化が進んでいることや、施設が手狭となっていることを理由に現地改築する。新庁舎の規模は8階建て延べ床面積7820平方bを予定。2022年度に基本計画策定業務をアイ・エス・エス(港区)が手掛けた。
別地の菊屋橋庁舎(台東区西浅草1ノ3ノ1)を仮設庁舎にするため、民間ビルの借用と改修を行って菊屋橋庁舎に入居中の所属を移転。その上で、菊屋橋庁舎を警察署仕様に改修し、蔵前警察署の機能を一時的に移す。28年度中に現庁舎の解体から工事に入る見通しだ。
全体事業費93億円うち、建築コストは工事費65億4300万円と委託料8億1400万円の合計73億5700万円と見積もっている。
25年度の当初予算案に▽新庁舎基本設計費=4670万円▽仮設庁舎工事費=2億4015万円▽仮設庁舎工事監理費=2380万円―の合計3億1065万円を計上した。
提供:建通新聞社