東京都は1月31日に2025年度の当初予算案を発表し、一般会計の投資的経費が前年度比8・3%増の1兆1611億円となることを明らかにした。増加は22年度から4年連続で、内訳は工事費が12・6%増の1兆0421億円、用地費が18・8%減の1190億円。新規に「大井コンテナふ頭再整備の推進」へ698億円を充てることや、「中小河川の整備」に前年度から208億円増の771億円を計上したことがアップの主な要因だ。また、気候変動への対応として、中小河川の整備を一部含む「TOKYO強靱(きょうじん)化プロジェクト」に544億円増の8161億円を投じる中で、調節池の整備や地下河川の事業化といった「風水害への備え」に419億円増の1996億円を配分するとしている。
一般会計の総額は8・3%増の9兆1580億円。21年度から5年連続で過去最高額を更新した。税収の増加や区市町村への交付金の増加が背景にある他、資材価格の高騰や賃金水準の上昇への対応でも約650億円を上積みした。
他の会計は特別会計が8・2%増の6兆6993億円、公営企業会計が4・1%増の1兆9924億円。全会計の総額は7・8%増の17兆8497億円に上る。
〜大井コンテナふ頭再編整備へ新規に698億円〜
建設関係の主要事業を見ると、新規となる大井コンテナふ頭の再編整備では、698億円を投じてふ頭の背後地約11・6fの取得などに取り組む。35年の事業完了を目指している。工事中の種地に活用するため、中央防波堤外側コンテナターミナルY3(25年度事業費87億円)を27年度末までに完成させて対応する計画だ。
「TOKYO強靱化プロジェクト」は総事業費17兆円で、23年度から10年間の事業規模を7兆円と見積もっている。25年度は前年度から544億円増の8161億円を計上した。対策ごとの事業費は、風水害対策が1996億円(前年度比419億円増)、地震対策が4486億円(84億円増)、噴火対策が589億円(115億円増)、電力・通信確保対策が1877億円(263億円増)、感染症対策が416億円(84億円減)。
このうち風水害対策では、妙正寺川上流調節池と柳瀬川上流第一調節池を事業化して基本設計に入る他、善福寺川上流地下調節池の工事着手を予定している。地下河川の事業化に向けては0・5億円を確保する。
交通ネットワークの形成に関しては、多摩都市モノレールの整備に15億円を充て、箱根ケ崎方面への延伸(約7`)に向けた調査と設計を行う。また、都心部・臨海地域地下鉄の事業計画を深度化するため4億円を計上し、施工面・運行面などの詳細を検討する。
東京消防庁の本部庁舎改築には13億円を計上。10月までに基本設計を終えて実施設計に進む。28年度からの工事を見込む。また、矢口消防署の改築で基本設計に着手するため、1・1億円を確保する。28年度の着工を予定している。
多摩地域の新たな防災拠点の整備については、基本計画の策定などに2億円を充てる。防災センターと防災備蓄倉庫・広域輸送基地を合わせた一体的な施設で、延べ床面積は最大3・3万平方b程度を想定している。
水素エネルギー社会の実現では、グリーン水素の製造・利活用に24億円を計上。大田区京浜島に都内初となる大規模グリーン水素製造施設を整備して、1基目の水分解装置を先行稼働させる。
都立学校の施設整備に267億円を計上。福生高校と足立特別支援学校の改築に伴う基本設計をスタートさせるとともに、中野特別支援学校の改築工事に着手する。
提供:建通新聞社