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建通新聞社(東京)
2025/01/28

【東京】衆参 国会議事堂耐震改修へ設計費十億円超

 衆議院と参議院はそれぞれの2025年度当初予算案に、国会議事堂本館の耐震改修に伴う設計費を盛り込んだ。両院で総額10億円超の経費を確保して、25年度の早い時期に業務の委託先を選定。建物全体の免震化を見据えて29年度までの5カ年で作業を進める考え。およそ600億〜700億円を投じて30年度から8カ年程度で工事を行うことを想定している。
 国会議事堂本館は千代田区永田町1ノ7に立地。鉄骨鉄筋コンクリート造の▽衆・参議院棟=地下1階地上3(一部4)階建て▽中央棟=地下1階地上4階建て▽中央塔=9階建て―で構成する延べ床面積5万3464平方bの施設で、1919(大正9)年1月に着工、36(昭和11)年11月に完成した歴史的建築物だ。
 81年の新耐震基準の施行と同時期に実施した耐震診断で耐震性に問題はないとされたものの、構造材と仕上げ材の劣化が進行している可能性や大地震後の継続使用性などの観点から、2020〜22年度に日建設計(千代田区)で改めて耐震診断を実施。その結果、大地震で一部に損傷が生じる危険性があり、緊急的な対策や恒久的な耐震改修が必要とする有識者会議の提言を得た。
 このため23年度に日建設計への業務委託を通じて構造体の耐震改修基本計画を検討。新たな有識者会議も設けて審議した中で、建物全体を免震化する耐震補強を施せば、大地震直後にも本会議や委員会の早期開催などが可能になるとの中間取りまとめを得た。24年度中に非構造部材を含む総合的な耐震改修基本計画を立案するため、引き続き日建設計で検討を進めている。
 衆・参両院は25年度当初予算の概算要求に際して、25〜29年度の5カ年にわたる設計費をそれぞれ5億2470万円と見積もり、総額で10億4940万円を確保するとしていた。いずれも要求段階と同額を25年度当初予算案に盛り込んでいるという。
 また、およそ600億〜700億円の工事費は過去の類似事例を参考に物価上昇率を加味した概算となっている。このため25年度からの設計で、工期を含め詳細に精査していく方針だ。提供:建通新聞社