国土交通省関東地方整備局は羽田空港の京浜急行引き上げ線整備に関わるシールドトンネルの工事にもECIを採用する方針だ。これに伴う詳細設計の委託先と技術協力業務を任せる工事の優先交渉権者をそれぞれ2025年度第1四半期に選定。詳細設計に優先交渉権者が持つノウハウを取り入れて施工計画などを具体化していく。先にECIを採用した駅舎改築などの施工状況を見ながら価格交渉を行って、優先交渉権者に随意契約で工事を発注する見通し。29〜30年度のシールドマシン製作を経て、31年度から掘進させるスケジュールを想定している。
京浜急行引き上げ線は京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅(大田区羽田空港3丁目)の列車の入れ替えを可能にして輸送力を増強するために整備する。駅側から第2ターミナルビルのエプロン方面に向かって、▽開削部30b(開削トンネルなど)▽非開削部14b(ボックストンネル)▽シールド部284b(シールドトンネル)―で構成。開削部周辺での駅舎改築なども行う。
23年度にパシフィックコンサルタンツ(千代田区)でシールド部の構造検討を含む詳細設計を実施。先行して開削部などと非開削部を対象とする「駅舎改築他」にECIを採用し、技術協力業務を手掛けた大成建設・五洋建設・京急建設JVと1月15日付で撤去工や仮設工などの前工事について随意契約(約193億円)を結んだ。本体工などの後工事も同JVと随意契約(約216億円)して30年度中に完了させる予定だ。
これに続いてシールドトンネルの工事にもECIを採用する方針を固めた。駅舎改築他で築造する非開削部からシールドマシンを発進させて、東京モノレールの駅舎や第2ターミナルビル、エプロンの直下に幅約9b、高さ約9・8bの断面を持った複合円形トンネルを構築する。とりわけ第2ターミナルビルの下は建物の基礎間を掘り進めなければならず、第2ターミナルビルを抜けた先に残る鋼矢板への対応も必要。また、トンネルを切り開いて下部に排水ピットを設けることになっている。
詳細設計の委託先を簡易公募型競争に準じた方式(総合評価方式)、技術協力業務を任せる工事の優先交渉権者を公募型プロポーザル方式でそれぞれ25年度第1四半期に選定。詳細設計を約18カ月、技術協力業務を約24カ月で履行してもらう。これらの成果を基に行う価格交渉が成立すれば、優先交渉権者にシールドトンネルの工事を随意契約で発注する。シールドマシンを発進させる非開削部は、駅舎改築他の後工事で最終盤の28〜30年度に掘進や内部構築などを実施する予定でいる。
提供:建通新聞社