トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(東京)
2025/01/23

【東京】都総合評価 3Qは374件 適用12%

 東京都が2024年度第1〜3四半期に開札した工事のうち、総合評価落札方式を適用した案件が前年同期より84件(18・5%)減少し374件だったことが建通新聞社の調べで分かった。適用率は2・6ポイント低下し12・1%だった。
 都は総合評価で、▽施工能力審査型▽技術実績評価型▽技術力評価型▽技術提案型―の4方式を運用している。
 中小規模の工事を対象とする「施工能力審査型」は過去の工事成績などを、技術的課題が少なく比較的大規模な工事に採用する「技術実績評価型」は過去の工事成績や同種工事の実績、女性活躍の状況などを技術力として評価する。
 技術的課題のある中規模以上の工事を対象にする「技術力評価型」は施工計画を評価項目に位置付ける点が特徴。「技術提案型」は技術的余地の大きい工事で、入札者の提示する性能や技術提案を評価する。
 起工部署が工事の予定価格と内容を踏まえて、価格競争と技術力の評価が必要であるかを判断し、適用する方式を決めている。
 都は第1〜3四半期に開札した工事3097件のうち、374件に総合評価方式を適用した。内訳は施工能力審査型が38件(24・2%)減の233件、技術実績評価型が45件(14・0%)減の141件、技術力評価型は1件減で0件。技術提案型は前年同期と同様に実績がなかった。
 総合評価を適用した実績があったのは財務局など10局。このうち、10件以上の発注実績があった5局の適用率を見ると、▽建設局=38・7%▽水道局=24・5%▽財務局=24・1%―の3局が2桁で、港湾局の9%、下水道局の4・1%と続く。適用率は財務局だけが上昇し、その他4局はいずれも低下した。
 建設局はこれまで予定価格を基準に総合評価を原則適用していた。24年度は時間外労働の上限規制の適用などを受け、受発注者の事務負担を軽減するために、工事内容に応じて価格競争も含め発注方式を選定するとの方針に改めている。

〜平均落札率は92・4% 価格競争を下回る〜

 第1〜3四半期の総合評価を適用した工事の平均落札率は92・4%で、価格競争の工事の平均落札率を1・1ポイント下回った。方式別で見ると、技術実績評価型が93・0%、施工能力審査型が92・1%と、後者の方式が平均落札率を押し下げている。
 総合評価は、入札価格に応じて定める価格点と、過去の工事成績評定などの評価項目に基づき算定する技術点を合わせた評定値で落札者を決める。
 施工能力審査型の価格点は、予定価格と同額で応札すると0点。予定価格よりも低い「基準価格」と同額で入札した場合に最高となる。基準価格を下回ると緩やかに下がり、「特別基準価格」を割った場合は点数が付かない。
 現行制度では、最低制限価格と同じ計算式で定める基準価格を下回った金額で応札して価格点が下がっても、技術点が高ければ落札できるケースがある。基準価格を割った金額での落札が増えると、最低制限価格を導入する価格競争より平均落札率が低くなる。
 こうした状況を踏まえ、東京都中小建設業協会は「特別基準価格を廃止し、基準価格を下回った場合に価格点を大幅に減点してほしい」と要望している。都は基準価格を割った金額で落札するケースが多いことを認識しており、価格点の算出方法を改善する方向で検討を進めている。
提供:建通新聞社