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建通新聞社(東京)
2024/12/26

【東京】羽田京急引上線シールド、来年度に詳細設計

 国土交通省関東地方整備局は羽田空港の鉄道基盤施設整備で、京浜急行引き上げ線のシールド部について施工方法などを具体化するための詳細設計を2025年度に始める方針だ。矩形シールドで建物の基礎杭間などを掘り進め、幅約9b、高さ約9・8bで延長約300bの複合円形トンネルを構築する計画=図。ルート上に残る鋼矢板への対応などを含めて検討し、ECI方式も視野に入れた工事の発注に備える。29〜30年度のシールドマシン製作を経て、31年度から掘進させるスケジュールを想定している。
 京浜急行引き上げ線は京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅(大田区羽田空港3丁目)の列車の入れ替えを可能にして輸送力を増強するために整備。駅側から第2旅客ターミナルビル(東旅客ターミナルビル)のエプロン方面に向かって、▽開削部30b(開削トンネルなど)▽非開削部14b(ボックストンネル)▽シールド部284b(複合円形トンネル)―で構成する。開削部周辺での駅舎の新設・増設なども行う。
 23年度にパシフィックコンサルタンツ(千代田区)でシールド部の構造検討を含む詳細設計を実施。先行して開削部などと非開削部にECI方式を採用しており、技術協力業務を手掛けた大成建設・五洋建設・京急建設JVと24年度内に前工事(撤去工や仮設工、土工など180億円程度)を契約する見通し。続く後工事(駅舎の本体工や非開削掘進・内部構築など70億円程度)も手掛けてもらい、30年度に完了させる予定だ。
 一方、シールド部は東京モノレールの駅舎や東旅客ターミナルビル、エプロンの直下に通す。とりわけ東旅客ターミナルビルの下は建物の基礎間を掘り進めるが、最も狭いところでセグメントの両脇から基礎までの距離はそれぞれ約1bしかない。そこで▽音響トモグラフィ探査▽ボアホールレーダ探査▽磁気検層―の3案から最適な方法を選定し、基礎杭の位置を確認しながら詳細設計を進める。
 また、シールド部はターミナルビルを抜けた先に残る鋼矢板も支障になる。対応策として考えているのは▽シールドマシンによる直接切削▽掘り進めてきたトンネル内からのガス切削▽事前の引き抜き―の3案。ただ、シールドマシンの形状や施工スペース、類似実績などの面でそれぞれ課題があるため、適用性を検討して最適な工法を選んだ上で詳細設計に反映させる。
 さらに▽浮き上がり対策▽トンネルを切り開いて下部に設ける排水ピットの施工方法▽完成後の圧密沈下対策―といった課題についても検討していく。提供:建通新聞社