東京都は、木造住宅密集地域(木密地域)の不燃化に関わる取り組みをまとめた「防災都市づくり推進計画」の基本方針の改定に向け、不燃化特区制度の今後の在り方や、防災生活道路や防災公園などの整備に対する助成の拡充などを検討している。12月19日に有識者委員会(委員長=中林一樹東京都立大学名誉教授)を開き、改定案に盛り込む内容について議論した。年明けに改定案を公表した上で、2024年度末の改定を目指す。
防災都市づくり推進計画は、木密地域や整備地域、重点整備地域を指定するとともに、各地域の整備方針などを示す基本方針(19年度改定、計画期間21〜30年度)と、指定された地域それぞれの整備計画を盛り込む整備プログラム(20年度改定、計画期間21〜25年度)の二つで構成する。24年度末に基本方針を改定し、その内容を踏まえて、25年度に整備プログラムも改定する見通しだ。
基本方針では、震災時に延焼被害の恐れがある老朽木造住宅が多く立地する約8600fを木密地域に指定。このうち、特に甚大な被害が想定される区部の28地域・約6500fを整備地域とし、その中で重層的かつ集中的に対策を行う52地区・約3350fを重点整備地域に位置付けている(いずれも20年時点)。
例えば、最も面積が広い整備地域「林試の森周辺・荏原地域」(1027f)には、「放射2号線沿道地区」(7・9f)など12の重点整備地域がある。
重点整備地域では、地元区が提案した整備プログラムを都が認定し、その取り組みを後押しする不燃化特区制度を活用している。都は老朽木造住宅の除却や建て替えを促進するため、専門家を所有者に派遣したり、建て替えなどの費用を助成したりする。また、地元区による公園・緑地・広場などの整備費を支援している。
ただ、不燃化特区制度は25年度を取り組みの最終年度としているため、基本方針の改定に合わせて26年度以降の制度の在り方を検討している。
また、木密地域であっても整備地域以外の約2100fについては、これまで不燃化に関する支援制度がなかった。都全体で一層不燃化を推進するために、こうした地域でも防災生活道路や防災公園などの整備に対して助成できるようにする方針だ。
小池百合子知事は第4回都議会定例会の所信表明で、能登半島地震によって木造家屋が密集する地域で火災が発生して被害が拡大したことに言及。「都も『燃えない・燃え広がらない』まちづくりのさらなる強化が必要」とした上で、「建築物の不燃化や、防災機能を備えた公園整備への支援拡充などを盛り込んだ、防災都市づくり推進計画の新たな基本方針案を年明けに示し、木密地域の解消を加速していく」との考えを示していた。
提供:建通新聞社