東京都中小建設業協会(都中建、渡邊裕之会長)は12月16日、都の2025年度の予算編成に向けた知事ヒアリングで、建設資材価格の高騰や働き方改革への対応などを求めた。このうち建設資材価格の高騰を巡り、渡邉会長は「設計価格と実勢価格があまりにも離れている」と指摘。「生コンの購入価格は設計価格に対して約5%高く、来年の4月以降には現在の購入価格から約8%の値上げを行うとのこと。アスファルト合材も約10%値上げすると聞いている」と具体例を挙げて、都独自の実勢価格での積算と「スライド対応部署」の創設を提唱した。
これに対し、都財務局の山下聡局長は「国の積算基準に準じて工事単価を定めている。材料単価は近年の市場動向を踏まえて毎月改正している」と説明。その上で、「引き続き市場の取引価格が反映されるよう丁寧に取り組む」との姿勢を示した。また、「物価が高騰する局面でスライド条項を適切に運用していくことは非常に重要」と語り、改めて関係部門にスライド条項の適切な運用を周知徹底する考えを伝えた。
スライド対応部署の創設については、「スライド条項をはじめとした変更は、工事に精通している監督部署で行うことが適切」との見解を述べた。
一方、働き方改革の要望では、朝倉泰成副会長が週休2日工事に対する設計労務単価の補正係数を取り上げた。都が国に準じて「1・05」としていることについて、「政府が言う賃金アップにはほど遠い。現場で働く技術者に対し、休みは増やせても給料の処遇改善が難しい」と実情を訴え、独自に補正係数を「1・2〜1・3」へ引き上げるよう求めた。
山下局長は「現下の状況を踏まえて国の動向を見据えながら適切に対応する」と答えた。
これらを踏まえ、渡邊会長は「公共工事でも民間工事でも案件はあるが価格が合わない」と現状を問題視。関連して「サブコンによる便乗値上げも発生している」ため、「労務費の実勢調査」が必要だとした。
さらに「昨今の都の公共投資は大型施設に予算を投じている流れがある」と主張して、中小企業が受注できる維持工事、施設工事への予算配分を要求。加えて、「国は工事費の予算執行率を公表している」ことから、都も各部局の工事事務所単位で同様に対応するよう求めた。
提供:建通新聞社