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建通新聞社(東京)
2024/11/27

【東京】都 調節池の「ネットワーク化」検討着手

 東京都建設局は調節池のネットワーク化に向けた検討に着手する。「豪雨対策基本方針」で示した対策強化流域のうち、神田川などの9流域にある複数の調節池を地下トンネルで連結し、容量の確保と相互融通を図る。ベースとなるネットワーク化計画の案などを作成する業務の委託先を決めるため、希望制指名競争入札の手続きを開始した。土木・水系関係調査業務(取扱品目=河川・水理調査)Aの競争入札参加有資格者から11月29日まで希望申請を受け付けて、12月18日に開札する。2025年12月15日までに得る成果を基に、事業単位の治水検討や基礎調査などを進めていく。
 ネットワーク化の検討対象は、「豪雨対策基本方針」(23年12月改定)で示した対策強化10流域のうち、▽神田川▽白子川▽石神井川▽目黒川▽呑川▽渋谷川・古川▽野川▽谷沢川および丸子川▽柳瀬川―の9流域。離れた場所にある境川流域は対象外となっている。
 建設局は23年12月に策定した「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」(河川施設のあり方)で、計画を上回る降雨や局地的豪雨にも高い効果を発揮する新たな整備手法として、複数の調節池の地下トンネルによるネットワーク化を唱えた。地下箱式調節池を整備する場合と比較して、必要となる用地面積が小さく、工期も縮減できるため、効率的かつ効果的な整備手法の一つと位置付けている。
 また、河川施設のあり方では、ネットワーク化の有効性を確認するため、神田川、石神井川、野川の3流域にある地下箱式調節池21カ所を連結した場合のモデルケースを設定していた。
 今回の業務では、3流域のモデルケースとは異なる他の流域の調節池とのネットワーク化を含めて、5ケース程度を検討。実現可能性や費用対効果の観点から、どの流域間の調節池をネットワーク化するか考えて最有力案を選定する。
 その上で、最有力案から取水施設の設置候補地を見極めて想定ルートを設定。同一径・同一深度で施工される一連区間を一つの事業単位とすることを想定し、10〜15程度に区間分けする。地下トンネルの連結方法については、立坑接合やトンネル同士の地中接合などでパターン分けして整理する。必要に応じて下水道施設との連携も探る。
 これらを踏まえてネットワーク化計画の案を作成。ネットワーク化の概念や方針、基本的な考え方、効果などを盛り込んで、事業単位の治水検討や基礎調査などに生かしていく。提供:建通新聞社